おもてなし、だけじゃ、始まらない
「地域振興」のあり方に一石を投じる。
池田塾・塾生が主体となった公演ですが、パワフルな質感で、役柄と本年齢の差を躊躇することなく、完全に役になり切っているようでした。
地域が、「旅」を守り抜く。
少子高齢化社会を迎え、東京一極集中が進展するなか、この国の「旅」は危機に あります。
なぜ一般旅行客は旅館を避けるのか。
大手ホテルチェーンは その知名度により「品質保証」をアピールできます。
ところが、個人が経営する宿泊施設ですと、季刊雑誌等に掲載される「マス」依存になってしまう。「口コミ」も そうです。
私は千葉県・房総半島域の小さな民宿に一週間泊まったことがありますが、そこで発見してしまいました。
それは、学生団体の「合宿」という、集団旅行客に基づいた民宿経営のメカニズムです。いたるところに「学生様歓迎!」の看板が。
日本企業は社員の福利厚生を積極的に推進しています。代表格は松下幸之助が創業したパナソニック(旧 松下電器産業)でしょう。
茅ヶ崎市は、同氏が理事長兼塾長を務めた松下政経塾の所在地です。70年代まで、松下グループの販売社員を養成するための研修施設が立地していました。
太平洋に面した観光地に わざわざ研修機関をつくるとは。
「社員は家族」だったわけです。
こうした「福利厚生」「レクリエーション」「終身雇用制度」の企業社会は観光業界にも雫をたらしました。
「社員割引」という形で、旅館、民宿側もファミリー層を取り入れていたのです。
しかし、いずれも、「集団」から存続しえるメカニズムであることには変わりませんでした。
つまり「集団」と縁が切れたら、「地域」の旅館、民宿が消滅してしまう現状です。インターネット時代下においては、この旧態経営を改革しなければならない。「個人」と コミュニケーションを図っていく。これが「旅」を守り抜く唯一のヒントです。
「池田塾」の舞台には、外資系ファンドが連ねるわけですが、「ハゲタカ不動産」などと地域の旅館、民宿から揶揄されていました。 同業者同士がアンチテーゼで「一致団結」し、旅行客における「ハート・フロンティア」(心のふるさと)へ、おもてなし接客を昇華していく。既存の業界団体の皆さんは このサクセスストーリーを どう評価するのでしょうか。
※追記あり
満足度★★★★
楽しめました
池田塾の公演は久しぶりに拝見しましたが、やはりうまい。温泉宿のロビーのセットはきっちり作り込んでいるし、ちょっとシビアな人情劇に、温泉街再生ビジネスを盛り込んだ話も見事です。役者さん達も皆存在感ありました。