『他人の目』『自分の耳』2つの愛+2つの孤独 公演情報 『他人の目』『自分の耳』2つの愛+2つの孤独」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    「静」の会話劇は思った以上に難しい劇だと思いますよ
    3/13(木)19:00 「他人の目」観賞

    はっきり言ってしまって「まあまあ」という評価しかない。
    会話劇(それも少人数)は思った以上に
    演者の技量が要求されるモノだと思います
    (笑いを取るにも泣きを誘うにも)。

    小劇場B1改装記念公演に当ててくる以上
    それなりにレベルの高い作品で来るものと
    思っていたのでちょっと残念でした。

    まあ、それとは別にアイドル声優「寿美菜子さん」が
    お芝居デビュー(既にデビュー済み?)を果たす、
    という事でそっちへの興味が先に立ってしまったのですが…

    ネタバレBOX

    アイドル声優ユニット「スフィア」の高垣さんは
    数年前から舞台活動をしてるとして、
    それ以外の3人(戸松さん、寿さん、豊崎さん)、
    それぞれがそれぞれ2014年に違う劇団/お芝居に参加する、
    舞台デビューを果たす、という事で気になってはいました
    (財力が尽きて豊崎さん舞台は取れませんでしたが…)。

    ただ、
    ・ 小劇場B1は初観劇なのですが「小さい箱」かつ
      それ以上に観客との距離が本当に近い接近舞台
      (慣れない人にはそれ自体がハードル)

    ・ くの字

      │
      │観 舞台
      │客   
      │ 観客
      └────

      という(もう1つの小劇場と同じ)特殊な構成

    ・ (劇場を見て分かりましたが)会計士のオフィスを主とした
      3人の会話劇、という「静」の舞台

    という事で、舞台歴の長いベテラン勢

    ※ ベテラン勢も声優/脚本家などマルチタレントの集まりだったのですね

    はともかく、寿さんはそこに「ちゃんとついていけるのかな?」
    という不安はありました。




    冒頭、会計事務所に何故か忍び込んでいる探偵
    (前の探偵がエレベーターから落ちた為後を引き継いだという)、
    そこへ帰り支度をしに来た会計士。


    会計士は、若さと美貌にあふれる妻と結婚したのは良かったが、
    それから数年、当初は自分から教わるもの全てに感動してくれていた妻が、
    今では自分への興味を失っているのが態度に現れ、
    「浮気をしているのではないか!?」という疑念に
    探偵を雇って調べさせていた、との事でした。

    この2人の会話劇が冒頭20分近く続くのですが、
    申し訳ない話、探偵役の方の噛み/トチリが多すぎます。
    (元々それなりの勢いを持ってしゃべるその口調と
    合わさってのものなのでしょうが…これは最後まで続きました。)


    そして、観客の方も(自分と同様?)単に寿美菜子さんの
    初舞台を観に来た、演劇自体に興味がない、という人達が
    多かったのではないでしょうか?

    ※ 拾うほどではないネタにも過剰に笑い、
      舞台の空気について「妙なテンション」だな、
      と感じていました。


    そして、探偵は「奥さんには気になる男性がいる、その方はすごく
    紳士的でかっこよく~云々~」のセリフを残して、
    妻の登場により追い出され、
    次は妻と亭主(会計士)の2人の会話劇です。


    最初は旦那に「花を飾ってあげようと思ってきたの!」
    などテンション高くふるまう妻ですが、
    旦那から「気になる男がいるんだろう」などと問い詰められ、
    それを白状する流れに。


    この内容が先の探偵が言っていた人物像とはまったく異なり、

    もうずばり『さっきの探偵の事じゃん!』

    と小さな盛り上がりを見せた時、会場は爆笑の渦になりました。


    そしてドアの外に探偵が隠れていた事から、
    とうとう3人そろっての修羅場舞台が始まります。

    ・ 自分が気になっていた人が実は「旦那に雇われた探偵」で
      あった事に怒り、そして悲しむ妻

      ※ この場面、妻は悲しみにソファへ飛び込みますが、
        ソファへ飛び込むまでの寿さんの表情は
        はっきりいって「笑い」入っちゃってました。
        多分お芝居的に感情の切り替えについていけなかったのかなあ、と。。。

    ・ 自分が雇ったはずの探偵に妻の心を奪われていた事に怒る亭主(会計士)。


    そして、場面は探偵と妻の2人舞台に。

    ・ 妻は元々フィーリングだけで生きる友達達と共に生きてきた。
      そこへなんでも「新しい、自分の知らない事/世界」を
      教えてくれる旦那が現れた。それはとても幸せな事だったが、
      いつの間にか妻自身が教養その他を身につけ、
      旦那との関係が先生と生徒からそうではない関係に
      なってしまったのが今回のすれ違いの原因、と。

    ・ 探偵の語る「他人の目」(探偵としての自分を外に置いた第三者の目)。

    ・ 言葉はかわさないまでも、
      妻とそれを追う探偵、
      そして時に逆転し探偵とそれに案内される妻、
      その関係に探偵は今まで欲していたものを手に入れた気分だと言う。

    ・ 自分は探偵として人を悲しませるような仕事ばかりしていた、
      この仕事もきっともう終わりだろう、
      最後に「他人を幸せにしてみたい」という探偵。

      そして、亭主の事をまだ愛しているのなら、
      自分(探偵)と妻とでこの3週間やってきた事
      「追いかけっこやらなんやら」と同じ事を旦那にやってみるんだ!、と。


    という事で、
    ・ 妻は部屋を飛び出し

    ・ 旦那(会計士)も秘密のネタから探偵の指図に従わざろうえず
      妻を追う

    という形でこの物語は終了します。




    (海外ベースと思われる)お話自体はきっと”それなりに”面白いものなのだと
    思います。

    しかし、

    ・ 探偵役の噛み、トチリが多すぎる

    ・ 寿さんが声はともかく、表情その他お芝居に入りきれていない

    という事で、一人孤軍奮闘する会計士をよそに
    このお芝居は「まあまあ」という感想しか、
    自分には抱けませんでした。


    ※ はっきりいってしまえば、
      いきなり「静」の3人芝居、という難しい舞台に立つよりも
      寿さんにはまず、普通に大人数で物語が動く「動」の芝居に
      立ってもらいたかったかな、と思います。
      (自分はアイドル活動はどうでも良い派なので
      今後の舞台活動に期待したいです。)


    ※ あとは、3人全員、これが会話劇である、という事をもっと念頭に置いて
      「表情」による芝居に注力すべきではないか?
      と思います。
      動かない分(かつ演者と客席が近い分)、
      観客は3人のその表情の移り変わりから物語の展開を
      感じ取ります。


    そういう意味で、
    ・ 寿さんの舞台デビューに向いた舞台ではない
      ※ 単に朗読劇などやってればそれこそ1000人それ以上でも
        すぐに感動に引き込めたと思いますが、
        あえて「お芝居」を選んだからにはお芝居としての成立が第一だと思います。

    ・ 小劇場B1の改装記念公演として向いた舞台ではない

    と自分は思ってしまいました。


    PS. 舞台が終わって前説担当が
      「Tシャツ販売してます、色は紫です!(紫はスフィアでの寿さんカラー)」
      と言った時、会場はめっちゃ湧いてましたが、
      自分は「盛り上がりのない舞台」を観た後でめっちゃテンション下がってたのもあり
      今更アイドル声優売りで盛り返そうとかやめた方がいいんじゃない?
      とちょっと情けない気分でした。


    つまんない舞台は書く事ない、といいつつ結構書いたな( ´ー`)
    いやあ、寿さんの可愛さはとんでもなく伝わってきましたけどね、
    目も合わせられないレベルで。
    でも、舞台ってそういうもんじゃないですから。
    美より何より演じる事で何かを伝えるもんですからー!

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