満足度★★★★
ネットの中からリアル社会を見る
ヴァーチャルなネットの世界からリアルな社会の病理を描いた作品で、程良くエッジの効いた演出が重い内容を刺さる様に表現していました。
ネットゲーム上でチームを組んでいる9人とメンバーではない3人が、チームのリーダーがネットで炎上して行方をくらませたことをきっかけに過去にあった事件について『12人の怒れる男』の様に議論し真相を探る物語で、いじめについて、更には社会における人間関係について考えさせられる内容でした。
仮想空間での議論という設定なので、ほとんど椅子に座っていて動きもあまり無く、役者同士が直接触れたり向かい合ったりもしなかったでしたが、議論に引き込まれました。
議論を傍観していて時折コメントを入れる謎の2人(それぞれ12人の中の1人と似た格好をしている)が、過去に起きた事件の当事者の「念」であるという仕掛けが、直接顔を合わせないネット上での会話という設定に合っていて良かったです。
角度を振った格子状に整然と並べられた、座面だけが赤く塗られた黒い椅子が、中盤で椅子が両脇に雑然と積み上げられ、舞台中央の一段上がった部分がそのまま議論のテーブルになったり、椅子を擬人化して過去の出来事を表現したりと、美術の使い方が巧みでした。
音響が不穏な雰囲気を空気感を醸し出していて、開演前のアナウンスの放送から既に物語に繋がる演出がされていたのも掴みとして良かったです。
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見やすく、入り込みやすい工夫が随所にあって、言葉の応酬の真ん中に立っているような感覚にとらわれる。さらに一文字も聴き逃さない気概で見ると、途中からはなんだかもう陶酔状態。いろんな世代が集まって、いろんな意見に触れ、それぞれの立場での理屈、へ理屈に全身がくすぐられる。元来ヤジ馬気質な私にとっては、かなり面白かったです!!