満足度★★★★★
よこしまブロッコリー「歩く人」観ました
これまで名古屋・松江などで断片的に上演されていた、死後の世界をモチーフとした、にへいさんのライフワーク『ライフ・イズ・ストレンジ』シリーズの、とりあえずは集大成。
今回は、その独特の世界観について、まとめて様々な要素が出てきて、むしろどんな世界かを摑みやすい印象。
初めて観るお客さんでも分かりやすいかも。
「死」に関して、対立する価値観やコミュニティの交錯、迷い、選択。
生前の世界に囚われることで得られる、死者の心の平穏。
そして、それを揺るがす衝撃。
世界は決して不動ではない。
そしてそれは、劇中だけではない。
私が今いるここさえも、じつは私の認識とは違うかもしれない。
生と死は背中合わせ。
受け手が考えれば、より深く、舞台中についても舞台外についても思いをめぐらせることのできる作品。
上演場所のライブハウス・K.Dハポンも、作品作りに大きな要素。
狭いフロアの真ん中に、テーブルが一つ。
壁にタペストリー。
新たに持ち込むのは、それだけ。ウッディで異国感漂う内装は、「どこでもない世界」を立てる。
表情の細やかさまで見て取れる、観客と至近距離の間近な劇空間で、異界のオーラをまとって演じる役者陣の集中力。
ふだんは女の子の話ばかりしてるチャラ男な(笑)彼が、東欧的な存在感で佇み、そこで静かに生きる光景。
大きな場所に行く必要のない、その場所でやる必然性のある公演。
こだわりを持って静かに公演を続けるよこしまブロッコリー、その積み重ねてきたものの重みを体感しました!