満足度★★★
制御不可能な物との対峙
去年に引き続いてのF/T参加で、前回より規模の大きな野外パフォーマンスとなっていて、難しい印象のタイトルや当日パンフレットの文章とは関係なく、労働と儀式の演劇的表現として見応えがありました。
水を張った上に組まれた竹製の巨大な構築物の中で、司祭の様な格好の男が歌ったり祈りの言葉らしきものを語り、5人の上半身裸の男達が様々な作業を行う構成で、構築物の上まで上っていったり、ワイヤーや竹にぶらさがったりする、肉体の力強さが印象的でした。
中心に水平に吊り下げられた丸太が場面毎に様々な物をイメージさせ、それが不安定に揺れ動いて危険な状態をなんとかコントロールしようとする姿が、自然(災害)と人間の関係を思わせました。
終盤では丸太に設けられた窪みと竹の棒で香木(?)をリズミカルに挽き、擦り潰したものを観客に配って歩き、エキゾティックな香りが儀式性を高めていました。
プログラムノートに書いてあった「デシタルムードメーター」や「エモーションディスプレイ」の効果が分からず、プリミティヴな面ばかりが強調されていた様に見えてしまったのが残念でした。