満足度★★★★★
参組:「これがソフトギアの面白さだよ~ん!」
“チームびっくり箱”はさしずめ大リーグボール。
キャスティング見て、「あ、空也さん、またニューハーフ演るんだ~」と思ったのですが、今回は一応“彼”。・・・もしかしたらゲイかもしれんが・・・。タッグ組むのは未知数俳優・タケナカ君の“男”。・・・あんまし嫁や子供が居る様には見えんが・・・。そして、一番の特徴は朗読役のロドさんとゴトウちゃん。他の組の朗読が白菜漬けや沢庵で、「ボクら、メインディッシュとご飯の為に頑張りま~す。」だとすると、いきなり大皿に盛られた激辛キムチを喰らったカンジ。只の添え物じゃあ終わりませんぜ。
とにかく、4人全員が自己主張。仁義なき戦いが静かに繰り広げられて、誰が何所でどうしているか、もう一瞬たりとも目が離せない! 選り取り見取りの個性派俳優を取り揃えてるソフトギアの強みですね。個人的には・・・・一番好きかも。
満足度★★★★
弐組:「これがソフトギアの魅力よね!」
個性派女優織田殿による“女”と、流される不遇な演技に定評のある(?)書上氏による“男”。飴色さん(これからというのに、退団だなんて残念です。またいつか戻って来て下さい。)とポチ君の語り口はなんだか可愛目で、それがトトカマっぽい雰囲気を出してます。“チームライン”は所謂変化球かな。
ストーリーを引っ張ってゆくのは“女”なので、極端な話、“女”のキャラクターによって、話の雰囲気がガラリと変わるし、「この後どうなるのか」という予想も違って来るのです。織田さんの“女”は、最も“コワイ”女。よりにもよって、この“女”と出逢ってしまった男は本当に不運。私が観たのが、夕暮れ時でタイムリーにカラスの啼き声が響き渡った(野外劇ならでは!)りして・・・正にホラーの世界。「怖え~~~。けど、こういう“大化け”が拝めるのがソフトギアの醍醐味だ。」・・・そう思うのです。
満足度★★★★
壱組:「これがソフトギアの実力だ!」
脚本・演出の福井女史もブログでおっしゃられてたのですが、企画・・・というか、この公演自体がとても斬新で興味深かったです。
まず「野外劇」の会場。大正時代に建てられたこの木造建築を、中庭の客席から見上げると、木造アパートの階段や通路の如き光景が広がっているのです。そう、なんと予算も手間も労せずして、2階建てのセットをちゃっかり調達しちゃってるんです。これはアイデアの勝利ですね。
「朗読劇」というのは、元ネタである「山月記」の内容と、台詞以外の“ト書き”をまんま読み上げてストレートに観客に伝える為の方法。だけど不思議な事に、整理された文語体っていうのは案外すんなり頭に入ってくるのです。
そして「トリプルキャスト」!!! 4人×3組、代役を除けばダブリ無し。しかも稽古は別々、他所のチームがどうなっているのか、知っているのは演出(1人で3通り!なワケだ)の福井女史と裏方だけ。このミステリアスさに、ギアファンは「全チーム制覇!」を決めたのです。
・・・で、壱組です。
スター赤木による“男”と大女優ゾエンヌ様による“女”。「ハズレ無し」のこの二人が飾る千秋楽(初演は初演で、嵐を呼んで大雨警報まで出してまさかのホール上演となりましたとさ。)は超満員。新人の友森さんは、はきはきとした語り口。重さんも淡々とした朗読。最もストレートな剛速球的「山月記の夜」・・・のハズなのだが、スターのアドリブや台詞のプチ変更が結構多かったのが、この“チームドラゴン”。流石、遊び心は忘れない。ちなみに、「男が今迄に聞いた事の無い声」については、一番凄みがあったのが(それ以外は一番明るい女なのに・・・)ゾエンヌ様でした。