売春捜査官 公演情報 「売春捜査官」の観てきた!クチコミ一覧

★ 満足度の平均 ★ ★ ★ ★ ★ 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    高円寺K'sスタジオ11周年企画(チームENNCHiとの提携公演)。
    昨年の高円寺K'sスタジオ10周年特別企画の再演で、木村伝兵衛を演じるのは木村夏子さん。脚本は同じでも、演出や役者(演技)が異なると面白さが違って観える。その演技が見どころ。昨年と同様 千穐楽に観劇。彼女を支える男優陣ー日下諭サン、梶原航サン、千葉大和サンーの熱演も良かった。もちろん舞台技術の照明や音楽が実に効果的に使われ、印象深く観(魅)せる。

    つかこうへい の思いは、やはり役者の演技力という体現なしでは伝わらない。特に主人公を演じた木村さんの力強く凛とした姿と愛嬌ある仕草、また山口アイ子の切なくも強かな女、その異なる女性像を自在に演じ分ける。
    (上演時間1時間35分 休憩なし)【🔫版】

    ネタバレBOX

    舞台セットは、お馴染みの古びた机、その上に黒電話、捜査資料、そして洋酒瓶が雑然と置かれている。音楽は冒頭の「白鳥の湖」は定番であるが、それ以降の劇中音楽は情景場面に応じて流すが、その選曲が実に良い。

    木村さんの伝兵衛は、小柄で華奢な体格に 黒スーツでビシッと決めたスキのない恰好。ただ 自分が観たのが楽日ということもあるのか、声が掠れており聞きにくい。昨年も同様の感想を抱いたが、今回はちょっと違った。聞き取り難いのは前半(劇中でキャスト紹介する迄)で、それ以降も声量等は同じだが、多少聞き取れなくても関係ない。男勝りの気性の荒い女性と細やかな気遣いという印象付けがしっかりと伝わる。また人間と犯罪に向き合う(女性)部長刑事といった情念(芯が強いという内面の激しさ)を感じさせる。まるで木村伝兵衛という役柄が木村夏子という女優に憑依したかのようだ。

    在日への人種差別の激白、その故郷を追われた慟哭が胸をしめつける。また伝兵衛の部下 梶ワタルを同性愛者として登場させ、性への偏見差別、職業・職場、さらには社会進出における男女差別、権力至上への揶揄など、色々な問題・課題を浮き彫りにしていく。今では憚られるような差別・卑猥語や隠語で捲し立て、観客によっては嫌悪感を抱くかもしれない台詞をポンポンと発する。一方、人が感じ持つ優しさ、哀しさ、孤独、気概などの人間讃歌とも受け取れるシーンの数々。

    熱海の海岸で絞殺された山口アイ子の平凡と思われた事件。その容疑者 大山金太郎を一流の殺人者に仕立て上げることによって、事件の底流にある本質を炙り出す。ラストには 物語の象徴であるアリラン、その花言葉=勇気が前面に出てくる。この硬質で骨太い描きの中に、女性ならではの純粋と羞恥を垣間見せる。この緊張・弛緩のほど良い刺激が物語を飽きさせない。
    次回公演も楽しみにしております。

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