吉例顔見世大歌舞伎 公演情報 吉例顔見世大歌舞伎」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-1件 / 1件中
  • 満足度★★★★

    夜の部
    五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
        同   二つ玉の場 
    六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
    七段目 祇園一力茶屋の場
    十一段目 高家表門討入りの場
         同 奥庭泉水の場
         同 炭部屋本懐の場

    ネタバレBOX

    十一段目以外は、ご存じの通り「おかる、勘平」関係(笑)が中心のストーリー。
    わかっていても泣けるし、六段目などでは「それは定九郎の仕業だよ」と言いたくなってしまう。
    ……観客にはお歳を召した方も大勢いらして、つい「ダメだよそれは」なんて、独り言を発してしまう方もいたりする。その気持ちわかる(笑)。

    勘平役の菊五郎さんがとても良かった。
    「六段目 与市兵衛内勘平腹切の場」で、自分がやってしまったことへの悔やみが、痛いほど滲み出ていた。
    おかるとの件でしくじって、今度は資金の捻出でしくしってしまったのだ。
    武士としての面目を忘れてしまった自分が許せない、という無念さ。
    切腹の潔さ。
    とにかく、ぐっときた。
    もう、この段だけでも大満足。

    今回の演目は、どの場でも脇役がいい味を出していた。
    自分の良さをすっと全面に出して、くきりと見せるうまさを感じた。
    声の通りの悪い役者さんもいたのだが……。


    大星由良之助役の吉右衛門さんは、「七段目 祇園一力茶屋の場」での、ラストでくぐっと締める場面はさすがだと思ったが、お疲れだったのか、迫力にはやや欠けたところもあった。

    「七段目 祇園一力茶屋の場」では、「あまちゃん」も「倍返し」も飛び出してきて、それがいかにも歌舞伎っぽくて大笑い(笑)。

    そして、何度も忠臣蔵を観てきたけど、実は「十一段目」つまり討ち入りは初めて観たような気がする(忘れてるのでなければ・笑)。

    十一段目は、20分弱ととても短いのにもかかわらず、セットや衣装が大変だから、なかなか上演されないのでは、と思っている。
    しかし、今回は理由があっての上演だと思う。

    それは12月の演目を見てわかった。
    なんと! 12月の演目は11月の演目とまったく同じなのだ!
    昼の部も夜の部も。

    ただし、役者が違うのだ。
    これは面白い!
    11月の忠臣蔵と12月の忠臣蔵を比べる楽しさがある。
    ちなみに、国立劇場のほうの歌舞伎も12月は忠臣蔵が一幕ある。

    よし、「絶対に12月歌舞伎は見るぞ」と思ったのだが、結局のチケットは取れずじまい。残念無念。

    余談だが、先に書いたように、ずっと独り言のように何かを言っていたおばあちゃんがいた。
    手傷を負った高師直(吉良上野介のこと)が、炭小屋中に追い詰められて、「えいっ」という声の後、すぐにさらしに包まれた首となって出てきたときに、そのおばあちゃんが、
    「仕事が早いわねー」
    と言ったのには、笑いそうになってしまった。

    歌舞伎座でのこういう感じはイヤではない。お菓子出すのに、多少ガサガサされても構わないと思っている。「菊五郎素敵ね−」と隣の人に小声で話してもいい。もちろん大声は困るけれど、多少のことは歌舞伎だから許せる(偉そうな言い方だけど・笑)。

このページのQRコードです。

拡大