Yerma イェルマ 公演情報 「Yerma イェルマ」の観てきた!クチコミ一覧

★ 満足度の平均 ★ ★ ★ ★ ★ 3.0
1-1件 / 1件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    『イェルマ』はロルカの1934年の作品。スペインの田舎の村、不妊に悩むイェルマは子供欲しさに気が狂わんばかり。愛のない結婚生活の唯一の救いとして子供だけを望む。そんな彼女に訪れる悲劇。今作はそれをモチーフとしてオノマ・リコさんが現代の物語として書き下ろし。更に構成と演出を稲葉賀恵さん。
    作品としては古典的。ロマン・ポランスキー監督、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の『反撥』を思い出した。精神を病んだ女性の心象風景、深層心理を丁寧に精査し紐解いていく。

    ステージはもろスタジオ。照明機材が立ち並び、真っ白な壁に囲まれている。置かれている家具も撮影用のインテリア。咲妃みゆさんが現れて照明、空調の調節。そのうち床に寝てしまう。同居している夫の姉(大場みなみさん)が現れて更に照明、空調を調節して去っていく。夫の渡邊圭祐氏が現れて妻を起こす。どうも精神を病んで働けなくなった彼女を昔からの友人であった渡邊圭祐氏が結婚という形で養っているらしい。広い一軒家の中、今では何も出来ない咲妃みゆさんは子供を出産することだけが望み。だがいつまで経っても妊娠しない。夫もどうも非協力的。友人(青山祥子さん)は結婚4ヶ月で早速妊娠の知らせ。どこからかやって来た老婆(渡辺いっけい氏)は嫌な事ばかり言う。部屋の一室を間借りしてリモートワークをしている小林亮太氏。

    旦那の姉役の大場みなみさんは浅田真央っぽく見えた。
    渡邊圭祐氏は若き日の唐沢寿明と赤坂晃を足したような美形。
    小林亮太氏も無精髭が斎藤工っぽくてセクシー。
    青山祥子さんの役には驚いた。伊原六花みたい。
    「スーパーマーケット」の歌なんか良かった。

    内容的なものよりも主演の咲妃みゆさんの狂乱振りにやられた。美人だが加護亜依っぽくも見える可愛らしさ。ひとたび歌い始めたら会場中が酔い痴れる歌声。
    咲妃みゆさん✕オノマ・リコさん✕稲葉賀恵さんの対決が見もの。誰がこの作品をモノにするのか?「女性は子供を産む機械」であるべきなのか?

    ネタバレBOX

    椅子の内部や薬箱等に土(コーヒーのかす?)が仕込まれていていつの間にか部屋が侵食されていく。ドアの向こうにいきなり土が積もっていて驚いた。異常に拘りのある舞台美術の配置、照明の加減、綿密な計算。彼女の精神世界に幽閉されてずっと彷徨っているようだ。

    オノマ・リコさんの抱える問題意識は当事者であるが故に過剰、一般的には理解し辛い。絶対善、絶対正義である筈の赤子にまで牙を剝く。そして冒頭から繰り返される台詞(「私は欲望する」)が誰から誰への言葉なのかを観客に考えさせる。「女性は子供を産む機械」という命題にとことん拘っているのだろう。こうあるべき女性像と闘う為にカルマもDNAも生物学的知見も否定する。全て否定し尽くしたところから新しく話を始めようというのか?間違っているけれど正しい。

    同性愛者とか「女は男の良き奴隷」だとかがノイズ。全てを詰め込もうとして全てが指の隙間から落ちていく。もっと一人の女性から見たどうしようもなく生き辛い世界に絞った方が強烈。

このページのQRコードです。

拡大