ピンキリ 公演情報 ピンキリ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
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  • 満足度★★★★★

    ざぶとんがぶっ飛んで行く瞬間をこの目で見た
    「集団as if~」所属、マクガフィンズで共演した上田恒平氏が主宰の旗揚げ公演。「集団as if~」山本恵太郎さんとの2人芝居、8本のオムニバス形式。一部の役が過去や現在で繋がっていて、さながらパラレルに展開する高質な交感、技術と感性と才覚。心底素晴らしいと思いました。

    ネタバレBOX

    簡単に物語を説明すると、

    ①【おい、森君、死んだってよ】
    死んだ旧友(あまり仲良くなかった)の葬式に出たかつての二人の物語。「あってもなくても変わらないけど、あるとちょっとかっこいい」と思うタイピンを、はなむけに学校に投げる。

    ②【就職会議】
    仮の話をして自らの進路を模索する学生と、さっさと単位を取って旅行を考えている医者志望の学生の話。前者は、最上の職業とは何かを考え抜いた末、魔王(笑)になり睡眠することを決意。仮の話として終わる様相。

    ③【殺し屋の矜持】
    プロの殺し屋と、それを生業とするために学ぶアマチュア殺し屋との物語。

    ④【稽古に捧ぐエチュード】
    ③に続くかたちで、③をあたかも稽古するかのような物語。結局笑いに走って稽古できなくなる(笑)

    ⑤【精神鑑定】
    殺人を犯した男に医者が精神鑑定を「行わない」話。医者はかつて②で旅行に行った学生のようで、アフガニスタンを旅してアホウドリになりたい願望と死体のトミーを友達に持つ。

    ⑥【アホウドリの巣の上で】
    アホウドリの愛の物語。

    ⑦【人生は時にロールプレイングゲームのように】
    ②で魔王となったであろう男が睡眠しているところに、彼を倒すために長い道のりを旅してきた勇者の話。

    ⑧【メメント・モリ】
    ①で死んだ旧友が三途の川を渡る前の物語。「あなたが死んだのは、ただきりがよかっただけ」と語る水先案内人。三途の川を渡るために必要な巾着袋がなくて焦る死者、バックの中にタイピンを見つける。水先案内人は「きりがいいところでピンが見つかるなんてよかったですね」みたいに言う。大団円、客席を生者に見たてて、「彼らの人生のこれからの物語は分からない」みたいなことを言って、こちらに拍手を送る。

    今回の演目で私が特に惚れ込んでしまったのは⑤の「精神鑑定」。
    山本恵太郎さんの語りに心底感動した。その情景、背景、当事者の感情がそのまま、いやそれ以上に伝わり、また言葉の切りどころも小気味よくて、いつまでも聞いていたくなった。そして彼の語りの次いで、上田氏の語りは囁くように、だけど微動だにしないその彼のつくる空気から発せられる言葉はよく響いて、誰もが
    おそらく耳を傾けていたのではないかと思います。ここでの、お互いの集中力はひどく危うげで、しかし均衡を保って魅せられる、他も大好きなのだけれど、特に、特にこの【精神鑑定】に心を揺さぶられました。惹かれた。本当に、素晴らしかった。この次のアホウドリへの展開も面白かった。く、くだらないって(笑)しかし真摯だ、と。

    最後の【メメント・モリ】は、先の方も仰っているように、新しかった。「誰でも役者であって、誰でも舞台に上がっている」のだといわれているように、また主役はお前なのだと、個人的にはそう捉えてしまいました。
    それぞれの芝居にそれぞれの感想がありますが、またそれは直接お会いしたときにでも。

    笑いや涙などの衝動・感情以上に、感性に刺激を与えられた作品でした。
    本当によいものが観られたな、面白かったな、楽しかったなと思いました。
    映像撮ってよかったのなら、全部撮影すればよかったと思っております・・・

    また次回も楽しみにしています。ありがとうございました。
  • 満足度★★★★

    新しい試み
    「やりたいことがいっぱいある」という情熱を感じた。
    代表本人が小劇場の慣習を一から点検してやってみよう、という
    チャレンジ精神にあふれた舞台だと思う。好印象。
    知り合いじゃないお客様限定のWAS割(人数制限なし)というのも良いと思う。
    オムニバスの作品の数自体は減らしてもいいかもしれない。
    二人の役者の魅力で、楽しめた。

    ネタバレBOX

    最後の話、台本としては強引にまとめた感じはするけど
    お客さんに拍手をして去っていく、というのは新しかった。
    ただ客席と舞台の照明を逆転させるのは、もう少しうっすらでもいいかも。
    あの状況だと(客いじりがくるかも、とか)お客さんの方が緊張してしまって、
    なかなか拍手しづらいのかもしれないと思った。

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