宵ノ奏劇 公演情報 「宵ノ奏劇」の観てきた!クチコミ一覧

★ 満足度の平均 ★ ★ ★ ★ ★ 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    観たくて早々に申し込んだが 選外、追加募集も選外、諦めていたが当日キャンセル待ちを受け付けるが、必ずしも観劇出来るとは限らないとの連絡あり。何とかキャンセル待ちに滑り込んだ。上演前は霧雨が降っていたが、始まる頃には止んだ。なんとラッキーな。

    トライアル公演として無料実施、しかし充実した内容で観て良かった。公演は「宵ノ奏劇~芥川龍之介 童話外伝~」、タイトリからも分かるが生演奏 劇伴(三味線やクラリネット等)があり芥川の「桃太郎」を朗読。それに串田和美氏(構成・演出・出演)は、現代に引き寄せるような串田節を挿入する。朗読の途中で 素に戻って観客に語り掛ける。それに呼応するかのように もう一人の出演者 大空ゆうひ さんも物語から脱線して話し出す。

    芥川の「桃太郎」は、日本中の子供のとうに知っている話ではなく、視点を変えることで違った情景や状況が見えてくる。その当たり前に潜む怖ろしさを問うている。そして串田氏は さらに「現代に置き換えた 例え話」を入れて分かり易く聞かせる。この串田/大空の絶妙な掛け合いが見事。
    (上演時間1時間)

    ネタバレBOX

    舞台は新宿・花園神社 神楽殿。三味線とクラリネットの劇伴、串田氏と大空さんが朗々と語りだす。物語は有名な童話「桃太郎」、しかし よく知られた物語ー悪い鬼を退治して凱旋する とは逆の御話。この視点の転換が肝。朗読する2人の衣裳は黒一色、淡い照明の中に浮かび上がる姿は、幽玄の世界にいるよう。かと思えば、近くで車の騒音や境内の本坪鈴を鳴らす音が現実へ引き戻す。夢現の世界に浸っているような不思議な感覚。

    物語の途中で 串田氏が気になることがある と言って朗読を中断する。桃太郎を串田流にテキレジしたのだろうか、一方(女性)の言い分だけ聞いていると間違うと。その言葉に大空さんが呼応し宙に片手をあげる。痴漢の手を掴んで糾弾する仕草をする。痴漢行為をしたのか否かは、女性の主張でほぼ決まる。多視点で物事を考えることをしない危うさを示す(概ね痴漢したと思うが)。大空さんは宝塚歌劇団で長年 男役を担っており、男の気持ちも少し解ると。昔話の「桃太郎」を殺すこと それを現代の卑近な例として語り掛ける。桃太郎という英雄譚を風刺・逆手に取った短編物語がよりリアルに伝わる。

    今の世の中は情報過多だが、本当に声が届いているのだろうか。チラシにもあるが「SNSで『正義の名を借りた略奪者』が量産され、誰もが『自分は正しい側か?』と疑う空気に中」とあるが、一旦 情報が発信されれば それは一方的なもの。文明の利器は凶器になり狂気を生む。芥川の「桃太郎」は財宝を奪って凱旋したが、必ずしもハッピーエンドではない。負の連鎖、それは紛争・戦争が無くならない世への警鐘だ。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

    ネタバレBOX

    串田和美『宵ノ奏劇〜芥川龍之介・童話外伝〜』を観劇

     新宿花園神社といえば唐組(状況劇場)、新宿梁山泊などアングラの劇団の公演が多く、蜷川幸雄が『王女メディア』を参道の階段を利用した公演には度肝を抜かれてしまった思い出がある。
    同じ世代の串田和美も場所されあれば、何処でも芝居をしてしまうが、花園神社の新楽殿を舞台にした今回は、多くの演劇人の嫉妬を買ってしまいそうだ。
     芥川龍之介の桃太郎を朗読劇として三味線、クラリネットの音楽付きだ。桃太郎が仲間たちと行う鬼退治の顛末を串田流に解釈するのだが、新楽殿でこの題材を選んでいる経緯の流れが見え始めてくると、幽玄な音楽と共に薄ら寒くなってくるのだ。飛行機、救急車、酔っ払い声などの背景の効果音はバッチリだ。
     串田和美は世界の動向を鑑みながら物語を紡ぎだしているが、今作はあまりにも直球で挑んでくるからか、クラっとをしてしまったのだ。
    桃太郎が現在の世界情勢とどのように絡んでいるのか?
    串田和美と芥川龍之介が童話を通して示した、徹底した反戦演劇であったのだ。
     傑作である。

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