満足度★★★
とにかく不条理
ボリス・ヴィアンの遺作である戯曲を、音楽ユニットであるアンサンブル室町が、石丸みち子を演出に迎えて、演劇的に上演する。ヴィアンだから、そもそもが不条理な物語で訳が分からないのだけれども、追い詰められていく家族の漠然とした不安/恐怖は巧く提示されていて、音楽がそれを効果的にフォローしていると言うことはできる。特に、エンディングの曲は、ひたすら上昇する家族の状況を音楽的に表現していたと思う。だが、演劇的に見て音楽が必須か、と言うと、そこには疑問がないとは言えないし、そもそもが音楽の側からの企画なのだから必須なのだけれど、不条理なだけに冗長感を感じる面もあったことは確か。舞台美術等、見るべきところはいっぱいある。
遅れて来た観客を、上演中の舞台を遮る形で案内するのはいかがなものか。
満足度★★★★
演劇と音楽、それぞれの表現に惹かれつつも
演劇にも音楽にも世界があり、
それぞれに惹かれるものがあって見入ったのですが・・・。
二つの秀逸さがつながり、
一体感をなすには何かが足りない感じがしました
満足度★★
噛み合ないコラボレーション
いかにも不条理劇といった設定の物語を、和楽器とバロック楽器のアンサンブルの生演奏と共に描いていましたが、演技・演出・演奏とも覚束無い印象が強く、コラボレーションがあまり上手く行ってないと思いました。
あるアパートメントに住む家族が奇妙な音が聞こえる度に上階に引っ越して下階へ通じる階段を封鎖して行く過程で次第に家族が消え、最後に残された男も最上階から落ちて死んでしまう不思議な物語で、一緒にいるものの存在が無視されていて家族から一方的に暴力を受ける全身包帯姿の「人間の様な存在」や、「奇妙な音」に込められた隠喩が興味深かったです。
舞台奥の1段上がっている部分が演奏スペース、段差の手前に4つのドアがあり、それより前が演技スペースで、最上階のシーンはかなり高いイントレの上で、それ以外の階は床で演じていました。包帯人間は一番上の階のシーン以外では舞台手前の方で寝転がったまま動かないので、客席からほとんど見えませんでした。
「音」は和太鼓によるゆっくりしたビートで表現していて、歌舞伎の幽霊登場シーンを思わせました。
音楽は普通のBGMとしてしか機能していなくて、しかも台詞が聞こえにくくなるので、生演奏である必要性が感じられませんでした。曲自体も魅力が感じられなかった上、同じ曲が繰り返されるので退屈でした。冒頭で電子音を使っていたのも意図が分かりませんでした。
音楽団体主催の公演の割には芝居のみ部分が多く、演奏する時間は全体の1/3程度しかなくて、物足りなく思いました。
役者が感情表現よりも大きな声を出すことを優先しているかの様に台詞を言っていて、ただ耳障りなだけで残念でした。ジェスチャーも大袈裟に感じました。力み過ぎで、この戯曲に本来備わっていると思われるアイロニーやユーモアが失われていて、ギスギスした印象が強く残りました。
音響か空調か照明か分かりませんが、常にノイズが鳴っていたのが残念でした。またカメラのシャッター音が無音のシーンに響いたりしていて、配慮の無さを感じました。
満足度★★★
独特の
世界観。 演技と音楽が素晴らしかったです! ストーリーはよく分からず意味不明なところも多数ありましたが、全体として引きつけられました。 現代芸術チックな舞台ということなのかな。 ただ、せっかくの生演奏なのでもう少し音楽の部分が長くてもいいのかなとも思いました。