dancing is サンタ world
上からの言い方に なってしまうかもしれない。
でも、この言い方でなければ、今作の真髄を表現する機会を失ってしまう。
これは、小学校の演劇発表会を、プロフェッショナルの役者、演出、美術で作り替えた、大人の ファンタジーである。
サンタクロースを慕う純粋少年と、彼が旅する“別の世界の住人”がともに冒険し、純粋さとは何か?大人とは何か?を探るファンタジー作品。
日本人は、『水戸黄門』に代表される勧善懲悪がハッキリした作品を 親しむ傾向は あるのだろう。
一方、米国映画の『アメイジング スパイダーマン』(2012 ソニーピクチャーズ)など鑑賞すると、ウィルスをばら撒くモンスター=博士の心的な流れを詳しく描写する。
つまり、「世の中をぶっ壊してやろう」と言う奴がいて、スパイダーマンが成敗する、そんな単純な構図では決して ない。
なぜ、このような前置きを 置いたかといえば、「劇団たいしゅう小説家」は、物事をハエの顔のように複合的に重ね合わせ、あえて難解な舞台を提供するからである。
脱獄したサンタクロース、スリの少女 等 仲間に迎えた少年。
“別の世界”の支配者、軍曹、オモチャ造りの老人、女王、魔界人、ファンタジーには欠かせね存在のオンパレードだ。
この冬山の風景を生かし、活劇風という名の山小屋を建設することも、判りやすい舞台を造り上げるためにおいては 当然の流れだったと思う。
そして、題材といい、セットといい、これ以上ないシチュエーションを裏切ったファンタジーは、既存の概念まで変えてしまった。
“別の世界”で製造された、空中を進むことができる乗り物。
当初は、「一時間弱で、到着する」はず だった、喫茶店のコーヒーを飲む間に完徹する冒険の道程である。
少年ら一堂が搭乗して見送った後、強い眼差しを向ける支配者の目は圧巻だったと言わざるを得ない。
他者に対して向けた視線ではなく、自分自身の内面性と、大きなコミュニティへ向けた視線だった。
星の王子さま は、言った。
「目に見えないものほど、大切」だと。
衣装を越え、照明を越えた、“観客に 考えさせる演出”が たしかに あった。
満足度★★★★
子供に見せたい
劇団的には前回がいまいちだったのでちょっと迷っていたのですが行ってきました。
作・演出が変われば全く別物、と言うことを学習!
と言うことでなかなか面白かったです。
多分、色々な方の感想で出てくるのは「子供向けミュージカル」みたい。
あ、でも歌ってはいないか。
これ本当に子供に観せてもいいぐらい良作だと思います。
勿論、子供騙しと言っているわけではなく。
まぁただ今回は完全に客層は大人な方々なわけなので、子供を呼ぶ事を目的に新たにやれたら凄いと感じました。
かなり難しいんでしょうけどね。
でもこの内容をあえて大人に観せるのが意味あるのか?
とも思ったり。