満足度★★★★
地味だが丁寧で秀逸
主宰・平林亜季子による短篇を4本。それぞれが独立していて、全体の流れのようなものはない。『ナポリの男』は夫婦とウェイトレス3人でやってるイタリアンレストランの隣の男が夫婦の知り合いに似ているという話。何だかほんわかする。『花嫁の友』は、ある女優の結婚を機に同じ劇団にいた女優陣が集まった夜の物語。明確かと思われた心情の背景に、実は…、的な話題を盛り込むことで、切なさと心安らぐ感じが共存し、4作の中で、最も私にフィットしてた。『鍵』は、退職する男と上司が、送別会の帰りに交わす会話。なるほどね、的な面白さはしっかりある。『スナックこいわ』は小岩のスナックで働く女性陣・常連に、突然入ってきた若い女性を交えた、そういうこともあるかも、的な真当な物語。ネタは途中で分かるけれども、それは作品の味わいを損なっていない、というより、やはりそうか、的に楽しめる。
全体に、物語の激しい起伏はないけれども、丁寧に言葉を積み上げていって、秀逸な舞台を作り上げていると思う。これでしばらくピンズ・ログとしての公演がないとは勿体ない。