居場所・ドラマの基礎と応用(2プログラム) 公演情報 居場所・ドラマの基礎と応用(2プログラム)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ナカフラによる演劇作品集。様々な短編〜中編を複数集め、2プログラムにパッケージされている。近年のナカフラ公演によく見られる形式で、僕の中では音楽ライブの「セットリスト」のように捉えています。多彩なレパートリーと多様な活動経験を誇るナカフラならではのスタイルと言えるかも。

    今回は、公募した「1分間の戯曲」で構成された『ランダム1・2』や、1947年に執筆された秋元松代のデビュー作『軽塵』、ナカフラの代名詞とも言える「誤意訳」としてテネシー・ウィリアムズの短編2作が上演された。

    ネタバレBOX

    2プログラムを観劇して思うのは、テーマの「居場所」が全体隅々まで行き届いているなぁ……という実感でした。テネシー・ウィリアムズの短編がこのテーマに直結するのは勿論のこと、秋元松代の『軽塵』も、公募を経て採用された1分間戯曲も、このテーマの上に立っている、と強く感じます。1分間戯曲は「その断片をお楽しみください」とアナウンスされ、前後の物語から独立し、自立した戯曲として、まさに「居場所を求めて彷徨い、ここに辿り着いた」物語のように思えた。

    『ランダム』は、形式的にはショートコントのような形になるが、笑いの要素は薄め、あるいは抑えめで、余韻が長めに残るストーリーに感じられた。『軽塵』は、強い問題意識を持って執筆されたことがよく伝わる、論理的かつ俯瞰視のしっかりした戯曲。1947年なので、まだ戦後の混乱期と言える時代に、戦争をモチーフにしつつ、私たちはどう生きるか? どう暮らしていくべきか? という自立や自尊について言及していることに驚いた。テネシー・ウィリアムズ原作の2本は、どちらも現代の設定。現代的なリアルと、そのねじれのような歪みが混ざり合う、複雑かつ、私たちがいま直面している「現在」を観ているよう。2作とも、キレッキレの台詞、極上の見立て表現、現代的キャッチーさ、的確な演技体が混在する、至福のナカフラ体験。

    ナカフラ公演として新鮮に感じたのは、2プログラムとも終盤を締めくくった身体表現。ダンスで締めるナカフラは、おそらく初めて観たかも。元々「語らないシーン」で魅せることに長けた団体なので、作風との相性は良いと思います。振付は Von・no ズ。

    「居場所」というテーマは、社会問題のひとつではあるし、積極的に取り上げるべきものだと思います。けれども、小劇場作品では、意外にも上演例が少ないかも…と、今回改めて感じました。(←あくまで僕の経験上の感想です)。そんな中、ナカフラは過去公演を含めて、居場所をテーマにした上演が多いように感じます。『軽塵』が執筆された時代から現代まで、あるいは日本のみにとどまらず、人間が生まれ、育ち、生き続ける環境において、居場所は大きなテーマなのだと改めて考えました。

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