岸辺のアルバム 公演情報 岸辺のアルバム」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「出演者の魅力が光る贅沢な3時間」

     山田太一が1974年の多摩川水害に着想を得て新聞に連載した小説をもとに、自身の脚本で77年にテレビドラマ化した作品の初の舞台化である。22年に向田邦子原作のドラマ『阿修羅のごとく』を新たに舞台化した「モチロン」のプロデュースで、倉持裕脚色、木野花演出、小林聡美主演という座組が実現した。

    ネタバレBOX

     多摩川沿いの一軒家に暮らす田島則子(小林聡美)は、仕事一筋の夫の謙作(杉本哲太)やなかなか受験勉強に身が入らない長男繁(細田佳央太)、すげない態度の長女律子(芋生悠)に気を揉み、日々の家事に追われてばかりいる。そんなある日家に不審な電話がかかってくる。最初は訝しがる則子だったが、そのうちその電話の男(田辺誠一)との会話が閉じこもってばかりいる日々の気晴らしになるのだった。しかし家族の軋みは思わぬかたちであらわになり……

     主舞台に置かれた田島家からシアターイーストの客席に沿って十字に組んだ舞台を通路や病院、喫茶店などに見立て、出演者がところ狭しと行き来する 贅沢な舞台空間にまずは一驚した。小林聡美の則子は夫に従順な主婦が次第に非日常の誘惑に惹かれていく描き方が丁寧で、終盤で謙作に詰め寄るタイトルの由来にもなった怒涛のセリフが圧巻である。杉本哲太の謙作は家父長制の権化ではあるものの、ところどころおかしみがある芝居で会場をわかせた。細田佳央太の茂は、ドラマ版の国広富之の愛嬌や無垢ではなく実直さで家族の秘密を暴くくだりに一番の魅力があり、クールな芋生悠の律子とバランスがとれていた。ちょっと出るだけだが伊勢志摩が病床で律子にさまざまにアドバイスする友人と、謙作を慮る同僚を演じ分けてうまいものである。

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