久保田万太郎作品その二十三 「雨空」「三の酉」 公演情報 久保田万太郎作品その二十三 「雨空」「三の酉」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    しっとり、しみじみ、しんみり、
    落ち着いたこんなお芝居もいいものです。

    ネタバレBOX

    『雨空』 今はお互いに好いたもの同士と認識しているものの、女の方に縁談があって断り切れず、指物職人の男は東京を離れようと考えるそんな大正9年頃の男女の話。

    元々は姉の方を好いていた男ですが、大工だった女の父親が死んで困窮した家を救うために姉が商家へ嫁ぎ、失意したところを初めから男のことが好きだった妹に優しくされて、二人はいい仲になったようです。

    女が三味線をたしなんでいたり、家に出入りする役者がいることや、その役者の言葉の端々から、父親が生きていた頃は随分と粋な感じの家だったことが窺えます。2月にお亡くなりになったのが十二代目ですから古い話になりますが、堀越の旦那なんて九代目市川團十郎のことらしいです。

    思うように行かない世の中ですが、最後女が声を掛け、さて…、何も起こらないのか、何か決断でもするのか、余韻の残るお芝居でした。

    『三の酉』 14歳のときに関東大震災で身寄りを無くし、以後芸者として生きてきた女が、彼女の言葉で言うところの「心の棲家」、即ち心から安心できる家庭というものを一度持ってみたいとしみじみ考えていたことを、馴染みの男がしんみり思い出す話。

    昭和30年頃の粋な遊び方、心構えのようなものを教えられました。

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