libido 公演情報 libido」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★★★

    演出が素晴らしい。 役者も良い。
    演出が素晴らしかった。
    意表を突いた演出も凄いですし、細かい部分でも不思議な質感を持った芝居でした。
    また、役者も良かった。特に渡部太一さんが良かった。

    ネタバレBOX

    演出では、暗転の闇があけると霧に場内が包まれていて、異空間に迷いこんだと錯覚するような凄い演出があった。小劇場でないとできない感じ。

    また、そのような大げさなものだけではなく、
    芝居の中で流れている時間が、普通の芝居の質感と違うものだった。この点もとても興味深かった。
    ある偶然性を許容する時間が流れているというのかな。
    例えば、役者が台詞をかんだり、ミスをする。そうした場合、ある「フィクション」が壊れかけてしまうので、一般的には、観客はそれを見て見ぬふりをする、もしくは苦笑してしまう。だが、この芝居の中でそのようなことが起った場合、それが笑いにかわる。ミスも、プラスに転化される場ができている。そのズレが良いグルーヴを産んでいる。凄いことだと思いました。
    しかも、ある部分では、演出家がそれを意図的に取り込もうとさえしているようにも見える。例えば、過剰な動きを役者に課したり、規制を強いる静的な動きを役者に課したり。そうすると、身体は、そのフィクションからハミ出してしまう。そこに偶然性が生まれ、妙なグルーヴが生まれる。

    また、そのような偶然性を、観客が受け入れる態勢作りもきちんとしている。
    客入れの段階から、役者さんたちが、観客に話しかけながら、席を誘導したり、ちょっとした会話をしたり。また、「前説」の人がお笑い番組の前説のようなことをして、会場と舞台との一体感を作り、場をあっためてから舞台が始まる。おそらく、このような仕掛けによって、ミスやはみ出しによって生じた偶然性を観客が許容する場が作られている。

    さらに、ケータイと言って役者がとりだしたものが、エアコンのリモコンだったりと、「これは芝居という嘘ですよ」というようなメッセージが暗に示されていることも、上記の許容をしやすくしているのだと思う。

    総じて、意表を突いた演出も凄いものがあるし、細かい演出も凄い。
    役者を演出というより、その構造をつくる演出というのかな、それが凄い。


    また、それを演じる役者の質感もとっても良い。
    特に、私は、渡部太一さんという役者さんがとても良いと思った。
    上手い訳ではないんだけど、とっても惹きつけられる。
    上記のような演出にとっても合っている「間」のようなものをもっている。
    そこに、滲み出ている何かがある。
    客入れの際もとっても感じが良かったし、彼の人間性から来ているのかもしれない。

    演出も役者も、所謂「フィクション」「作りもの」の質感じゃないんだよな。でも、リアリズムとは対極。ドキュメンタリーの質感というのかな、そういうものがある。

    ただ、脚本は、、、う~ん。
    すべてが断片というような感じなので、どう受け取って良いかわからない。
    どう解釈してもいいということか、、、
    題名どおり、すべてが「libido」を示しているということなのか、、、
    はたまた、僕に読めなかっただけで、伏線などが張ってあるのか、、、、

    仮に、過剰な深読み・寓意的な読みを自分なりに試みれば、
    冒頭部は、震災などの衝撃的な事象によって、今までの自分の居た場所・価値観が一瞬のうちに失われてしまったという場面であり、そのパニックを回復するのが人間の「libido」。そして、主人公は不確かな「ぼく」「わたし」「おれ」「うち」をそれぞれに確認していくということ、、、なんて読みをしてみた。

    ラストシーンの後、舞台奥には鏡が残り、観客は鏡に映った自分(たち)の姿を目の当たりにする。それが観客自身の「私」と向き合うということなのか、、、

    いずれにせよ、意味は舞台からではわからない。
    勿論、その「libido」が伝われば、意味はわからなくても良いということなのかもしれないが、それだけでは、ちょっと弱い感じがした。
    観終わった後、正直、演出が面白かったなという感想しかなかったからだ。
    (今、上で書いたのは、なんとかそこに意味を見出そうとして書いただけなので。)本がもっと強ければ、もっと何かが残ったのだと思う。
    演劇の場合、意味と非意味は相互に補完するものだと思うので。


    また、音楽に関しては半々で、選曲も良いんだけど、どの曲もキャッチーだから、耳が音楽に引っ張られ過ぎる。良い効果も産んでいるから、半々だけど、、、。


    長々と、偉そうにすみません。

    いずれにせよ、素晴らしかったです。

    これだけの言葉が浮かんできたというだけでも、素晴らしい舞台だった証拠。
  • 満足度★★★

    不条理ものは難しいです~(*_*)
    感覚的な作品で、解釈に悩みます。見づらいことを予測した作品だし、確かにその通りですが、最終的には自我とか誕生とか有りがちなテーマに収束する気もします。成長途中の若い感覚は感じました。一方、不条理で浮き世離れした感は否めません。

    ネタバレBOX

    序盤の閉じ込められた4人の場面は面白かったです。黒ヒゲ危機一髪も楽しめました。トランプや鍵が提示されたので、ここを軸に展開してくれたら良かった気がします。

    意味ありげに出てくるのに展開が続かないので、風呂敷を広げたものの収集がついていない印象です。盆踊りやボールのプールで話す場面、家族の食卓、合唱、箱から光を取り出す場面など、印象的なシーンは多いので、もう少し分かりやすいと良かったと思います。

    以下、演出の意図だったらすみません。阿波踊り?の場面は、男踊りと女踊りを分けて欲しいです。女性陣の切り替えが中途半端な気がしました。交響曲に合わせてストップモーションを見せる場面は長すぎだと思います。同じようなポーズが続いたり、後半はネタ切れ感が出ていた気がしました。

    また、演者の感性が似ているのか、似たような動きが多かった印象です。キャッチボールをする場面は、特定の人だけ相手の名を呼ぶのが気になりました。終盤、スモークがキツいので、中高年が多い回は要注意です。気持ち悪くなってしまいます。

    演者さんは、女性陣が魅力的に感じました。合唱はとても上手でした。動きは、柔軟性が乏しい印象があります。発声が良いので、セリフにメリハリがつくと伝わりやすい気がします。終盤の一人称の「ウチ」のイントネーションがウチ(家)と混同しました。方言が同じイントネーションかもしれませんが、浮いて聞こえたので、言い方を工夫して欲しいです。

    スタッフワークでは、前説の方が靴を履いていたのが気になりました。客は靴を脱いでいますし、直前に靴のまま客席に来て注意された方がいたので、目につきました。ファッションかもしれませんし、舞台用かもしれませんが、必要ない気がします。

    開場時、演者さんが迎えてくれたのは嬉しかったです。一見でしたが、女性の演者さんが素早く対応してくれて、細やかな心遣いを感じました。関係者が多い回でしたが、居心地悪さが緩和されました。他のスタッフも良く気がつく方ばかりで、気持ちよく観劇できました。欲を言えば、靴を履く時に荷物おきや腰掛け用の椅子があると助かります。

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