季真〆組『好きなだけじゃダメですか?』 公演情報 季真〆組『好きなだけじゃダメですか?』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め といっても実質1日の公演。観ることが出来てラッキーだった。しかも最前列中央という かぶりつき席。

    公演は、制作上の都合により朗読劇へ変更、それでも面白いから動きのある演技が加わったらと少し惜しい気がした。物語は、今奈良孝行さんのト書きで始まる。向かい合った部屋に住む2⼈の⼥性がベランダで話している。1人は前から住んでいる住人 美鳥(みどり=池上季実子さん)、もう1人は最近引っ越してきたばかりの中年女性 辰乃(しの=本田真弓さん)。ベランダ越しに 美鳥は人懐っこく辰乃に話しかける。自己紹介をし合って すぐ、自分は占い師で何でも占ってあげる、お友達になったんだから格安(お友達価格)でね と…。

    ここから始まる会話は辰乃の心情は勿論、結婚に関する時事問題を織り込み皮肉や批判が鏤められ、上辺だけの恋愛相談に収まらない。そして日替わりゲストの和泉元彌さんが辰乃の(元)カレとして登場してからは更に会話がヒートアップしていく。役者陣の朗読力が凄く、会話がどこに辿り着くのか、そんな漂流する展開に惹(引)き込まれる。熱演とは、この役者陣のためにある言葉かと。
    (上演時間1時間20分) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、上手/下手にベランダを表すサークル、上手が辰乃(50歳)の部屋で白い洗濯物(白いタオル)が干されている。下手は美鳥(60歳)の部屋で植木鉢が並んでいる。中央は幕、後々 和泉元彌さんが引っ越してきてサークルが。ちなみに風が吹いて、辰乃のタオルで隠されていた紫色の下着 上下セットが見えてしまう。シンプルな舞台セットだが、物語の奥行きを見せる優れもの。

    物語は、2人の自己紹介という形で年齢、職業や嗜好が早い段階で分かる。しかし結婚観は会話を通して少しずつ明らかになり、タイトル「すきなだけじゃダメですか?」に込めた思いが浮き彫りになっていく。「結婚」することのメリット・デメリットを比較検討することによって、今の女性の結婚観を鋭くしかもユーモアに描く。美鳥の占ってあげるは、いつの間にか辰乃の話を聞き 寄り添ったアドバイスをしている。初めに見料5千円受け取っているのに、この とぼけた<行為>が都会という殺伐さの中に<好意>として映る。同時に阿部公房の「友達」を連想してしまう。お独り様の心に ずかずか侵入してくる厚かましさ。

    辰乃は同級生と10年付き合っており、いまさら結婚する気にもならない。今まで通りの付き合い(好きなだけ)じゃダメなのか。婚姻届(紙)を提出するだけの形式的なもの。遺産もいらないし、名字が変わるのはイヤ(実は西園寺という)。夫婦別姓の議論はどうしたの といった時事を皮肉る。辰乃は結婚することで会社内での評判を気にする。独身主義と思われていたが、やっぱり結婚(安泰路線)なのね と。彼は仕事を辞め画家になると言っている、そして美鳥は彼が両親の介護を押し付ける といった憶測まで吹聴する。

    辰乃は彼と別れたつもり、しかし彼はまだ付き合っていると主張。ゆえに(元)カレで、2人の女性が住んでいるマンションに引っ越してくる。正面奥の幕が開きサークル状のベランダが出現する、ト書きではコの字型と説明。美鳥曰く、辰乃は社内の評判を気にする、一方(元)カレは結婚することでステータスを…そこに共依存の構図が見えると言い出す。結婚とは何ぞやという命題を面白可笑しい会話で紡いだ珠玉作。
    次回公演も楽しみにしております。

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