公演情報
「The Weir~堰~」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★★★
アイルランド劇作家と言うと些か色めく。コナー・マクファーソン作品は初めて目にした。良い舞台だった。ある酒場で人が会話を交わし、別れるまでの一夜の芝居。最初、五十男がやって来てカウンターの中でビールサーバーをいじって酒を注ぎ、飲み始める。若いバーテンが入って来て会話をする。勝手知ったる何とやら。古馴染み同士が、暫く顔を見せないあの野郎の話をする。何でもダブリンから移ってきた女性を案内していて、後でここへ連れて来るらしい。しかし唯一既婚者のあいつがここでやる事と言や、それを吹聴する事。なあそうだろ。五十男のジャックも独身、若いバーテンのブレンダンも同じく。三十男の同じく独身男のジムが入って来て、その男フィンバーと女性の情報を補強する。やがて彼が三十代の美女ヴァレリーを連れて入って来る。普段と変わらない空気で対応し、どこに住み始めるか、など聞き、土地にまつわる話など始めるのだが、フィンバーが「ほら、あれ」と何時だったか聞いた不思議な話をヴァレリーに聞かせたく思い出そうとする。そうして、不思議な事が起きた、という逸話が話されて行く。最初はヴァレリーが棲む事になる家だったと気付かずうっかり、越して行ったその家族の前に棲んでた人から聞いた、夜誰もいないのにノックをする音がしたという話。妖精の通り道だったらしい、と誰かが話していたな・・。これを受けてフィンバーが自分が親父を無くして一人で暮らし始めた頃、家から離れた隣に越してきた家族の夫人が夜血相を変えて訪ねて来た話。乞われるままに家へ行って観ると・・こうして話は続く。ジムの話が終った後、話に触発されたヴァレリーが自分にも不思議な話が、と語り始め、彼女がこの田舎町にやってきた理由が知れるのだが、ジムとフィンバーがヴァレリーと握手をし、今度は間を空けずに来るからな、と言って去った後、三人が暖炉の前に座り、ジャックが独身である事について幾つか質問をしたヴァレリーに答える形で前に居た彼女との話をする。誰にでも起きそうな話、だが他でもない彼自身の人生の話。宿命(必然)であったが悔恨せずにいない過去は今の彼を形作っている。夜も更け、彼らは別れを告げる。
人と出会わせてくれる芝居は良い芝居である。
実演鑑賞
満足度★★★★
パブでいつもの仲間と新参者がいろいろ過去のことなど語る一晩のストーリーで特別何かが起こるわけではないのだが、手練れた俳優たちが演じているおかげで、味わいがあり、人生の哀愁や切なさを感じさせる。
実演鑑賞
満足度★★★★
敬愛する『父と暮せば』の黄金コンビ・山崎一氏&伊勢佳世さんの再結集。観ざるを得ない。
作品自体は5年前に劇団昴で観た。ギネスビールが飲みたくなってイライラするような良い作品だった。簡単に言うとアイルランドの田舎町のパブで顔馴染の常連客が新参者の移住者に町の逸話を披露する。その新参者は美人の女性の一人暮らし、一人を除いて独身のおっさん共は色めき立って妙に舞い上がる。パイントとは日本で言う中ジョッキのことで約568ml。中生=生中みたいに使っているのだろう。
町にまつわる不思議話の流れから実際に体験した怪談話の披露みたいになっていく。話術が巧みな役者を揃えている。
バーテンの田中穂先氏は天野はなさんによく似てる。
いじられキャラの上村聡氏はロッチ中岡っぽい感じでムードを和らげる。
山崎一氏&伊勢佳世さんはもう別枠として、麻生太郎風味の高橋慶彦みたいな長谷川朝晴氏がMVP。文句なしに巧い。話術は麻生太郎節、全てが自然で計算ずく。絶妙。
伊勢佳世さんは英国人の血が入っているような美しさ。表情が日本人っぽくない。
伊勢佳世さんと山崎一氏の遣り取りは些細な表情の変化も見逃せない。
このコンビならどんな作品でも観たい。上質な演劇を浴びる光栄を観客は享受。風の音の微妙な変化、話の流れにリンクした繊細な照明。いつしか話に聴き入っている観客。まるでこの空間、この空気に演出をつけているようだ。
是非観に行って頂きたい。