寝盗られ宗介 公演情報 寝盗られ宗介」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    雑遊で10月にやったTOKUYA OHTA presents『少女仮面』、「喫茶・肉体」のサディスティックなチーフが時津真人氏だった。異様に印象に残っている。真田広之と奥田民生と筧利夫を合わせたような病んだ妖気。この会場を依代として、つかこうへいの魂を口寄せしたかのような時津真人氏。密室の中、マンツーマンでつかこうへいに怒鳴り散らされているような錯覚。北区AKT STAGE解散公演、今更ながらもっと観に行くべきだった。

    全国を巡業して回る旅回り劇団北村宗介一座。座長の宗介(時津真人氏)、内縁の妻である看板女優のレイ子(大滝樹さん)。レイ子の父(とめ貴志氏)は会場人気が高い。新たに入団して来た松本有樹純(ゆきよし)氏。ストリッパーの今井彩奈未(さなみ)さん。副座長の池田大輔氏。鮭の髙木静流さん。吃りの猿、市原優雅氏。赤鼻の歌手、杉野豊氏。郷ひろみ?、森本悠斗氏。サナエ役井上涼賀(すずか)さんは何となく見覚えがあるが初めてか?と思いきや『少女仮面』に出ていた。

    東北出身、父は政治家実業家、妹は早世···、となれば宮沢賢治とだぶらせるのは必定。周囲に惜しみなく愛を与える宗介はレイ子との愛情を常に試している。どれだけ他の男に抱かれて自分を裏切っても俺はレイ子のことを愛せるだろうか?どれだけ俺に愛想を尽かして男と逃げたとしてもレイ子は俺のもとに戻って来てくれるだろうか?ずっと試し続けねばならぬカルマ。自分は自分を信じ続けられるだろうか?劇中劇の『寝取られ宗介』は愛しているのに道をたがえねばならぬ男女の話。逆に道をたがえてこそ、その愛は本物だとでも言うように。

    時津真人氏は観ておくべき。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    劇団の看板の演し物は『寝取られ宗介』。小池一夫の世界観。江戸元禄時代、第五代将軍徳川綱吉の治世。天下の悪法、「生類憐みの令」の布告と大老格・柳沢吉保の私利私欲にまみれた悪政に民衆は苦しみ喘いでいた。
    湯屋で女郎の陰毛を処理する忘八者、下剃りの宗介。女房は女郎のお志摩。お志摩は上方歌舞伎役者浪速屋の音吉と心中しようとしたものの裏切られた過去がある。
    宗介の正体は綱吉の子供で父を殺そうとして追放、身を堕としていた。だが密かに暗殺の計画を練り時代を変革しようと企む。(後の第六代将軍徳川家宣)。側近の松平伊豆守。十手持ちのお京は宗介の動きを見張る為、吉原の女郎となって潜入捜査。

    見どころは芸の肥やしとして心中を演じた音吉と生き存えた上に男に逃げられ恥を背負ったお志摩の再会。見事なシーンとなっている。

    33年前、映画館まで観に行った『寝取られ宗介』。藤谷美和子見たさ。覚えているのは原田芳雄が「愛の讃歌」を歌うシーンだけ。

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