『鏡涙 うつる月こそ 形なれ』 公演情報 『鏡涙 うつる月こそ 形なれ』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    わりと普通の演劇でした、演者と観客の距離がとても近いということ以外は。
    もっと巻き込まれるかと思っていたのですが。
    巻き込まれたかったなあ。

    ネタバレBOX

    状況が理解できない時の一人芝居はひたすら退屈でした。
    途中でわかります。
    ここから面白さが急激に上がります。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、喪失と再生---グリーフケアの物語。
    「現実」と「幸福」 その実感を失った先に想像を絶する光景がまっている。物語は 男と女の二人芝居だが、中盤迄は男の悶々とした独白が続く。どうして彼は苦しんでいるのか、それがだんだんと解きほぐされていく。何となく既視感がある物語だが、狭い会場で周りから観(眺め)る感覚は、盗視しているようで変な好奇心が湧き、目が離せない。

    少しネタバレするが、上演前から黒いスウェットシャツを着た男が 薄暗い部屋の床に寝ている。なにやら独り言を繰り返している。その鬱屈した感情、実は寂寥の裏返し。男の視点で描かれる 愛おしくも残酷な思慕のはなし。幻影へのエモーショナル的な好公演。
    (上演時間1時間15分 休憩なし)

    ネタバレBOX

    中央にテーブルと椅子2つ。会場入り口の奥に舞台技術を担うブース、正方形のマットレスが2つとハンガーラック。客席は舞台を囲う壁際に椅子が置かれている。観た回の観客は8人。小道具はなく、主にマイムで表現。効果音も最小限、照明も暖色が2方向から照射しているだけ。役者の演技力でどれだけ物語の世界観を構築できるか だが見事。

    物語は 説明にある「暗い部屋の中、男は静かに目を覚ます。長い間、仕事を休み、誰とも会わずに過ごしていた」、そして長く暗いトンネルから抜け出す1日を描いている。
    男はユウタ(向哲平サン)、女はメグミ(山口敦子サン)、二人は この部屋で同棲(or結婚)していたようだ。彼女はもういない。彼女と過ごした日々を懐かしみ そして悲嘆に暮れている。別れ 失(喪)って初めて知る大切な存在。虚無のような日々だとしても生活は続く。トリガーアラートにある<センシティブな表現>や<性加害に関する描写>は、メグミの下着姿や暴漢に襲われた場面を指すようだ。

    メグミは2回登場するが、初めはユウタにその姿は見えない(回想場面か)。2回目は仕事から帰ったメグミの就寝する姿がハッキリ見える。その時のユウタは、幻覚か幻想を見ているようだが、その幻こそユウタの切なる願いでもある。もう少し 2人の印象深い思い出話があると、切ない気持が昂ぶり 揺さぶられ 感情移入できるのだが…。客観的な観察眼でしか観られないのが惜しい。向哲平さんは激情と寂寥の気持を全身で表し、山口敦子さんは淡々とした(生前の)日常を表し、2人のいる世界が異なる様子を観せる。それが異界を乗り越え(鏡を通し)て深く結ばれていることを表す。

    部屋の外は 花火の音、電車の高架下轟音、雑踏という 社会(俗世)が隣り合わせにある。カーテンを開けると明るくなり日が差し込むような光景。鏡の向こうに居るメグミ、手を取り合って箱(オルゴールか?)の蓋をあける。優しい音色の音楽が流れ、メグミは囁く。私はいつもそばにいるよ。悲しみは癒えないと思っていたが、ユウタはメグミの死と向き合うため、喪服を着て…。とても余韻あるラスト。
    次回公演も楽しみにしております。

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