やばすぎっ 公演情報 やばすぎっ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    (笑えた度)5.5(今感)5.5(完成度)5.5(平均)6

    メタの異化効果を現代的に解釈してアウフヘーベンし、リアルを超越した一次元上の同化効果とでもいうべきすこぶる魅惑的な世界認識を提示せんとする高度の文学性。

    小劇場エンタメに必要と思われるほぼ全ての要素をさりげなく備えて110分間観客を楽しませ続けるという隙のないエンタメ性。

    ガストにこっそりレッドブルを持ち込んで、ちびちびやりながら、西陽のあたる国道沿いの窓際の席で芥川賞受賞作と直木賞受賞作を立て続けに一気に読み切った時のようなトリップ感と多幸感を与えてくれた世紀の傑作。

    (※個人の感想です。)

    ネタバレBOX

    以下、ネタバレしてます。こ注意を。
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    いやあ、そうだったのね。そこで出てくるラズベリースムージー。

    劇中劇のあらすじを現実のフライヤーに書いて、虚構との境界を曖昧にし、意味をなし崩しにしていく展開には舌を巻きました。
    メタは見慣れていると思っていたのに不意を突かれる、、、まだまだですね。

    現代口語演劇から入り、ダウナーなセカイ系ホラースプラッタエモコアパンクテクノで終わる徹底的な虚無系不条理コメディ。
    更にこの全体構造そのものがエモ、という凝りに凝った作り。
    作者モヘーさんの守備範囲、間口の広さ、恐れ入ります。

    どこら辺がエモコアかというと、エモコアはいわゆる口語のエモとかなり違いますし、音楽のボキャブラリーで演劇を語る無理ゲーは承知の上でまるっと強引に進めますと、劇中劇で、まあ、これは作中人物によって語られているだけなんですが、次々と人が○んでいくわけです。○酸カリで○んだり、チェーンソーで首ぱっつんしたりする。その、殺伐としたパンクの中に、隠しても隠しきれない溢れてくる抒情性があるわけなんですよ、それが、たとえば、舎人ライナーに轢かれて○ぬ、というディテールです。あの日暮里の、舎人ライナーのどこが叙情なのか、という点については、議論のあるところだと思いますが(笑)、そのほかには全くと言っていいほど、内面の葛藤とか、個の悩みとかそういった要素が綺麗サッパリないにも関わらず、パンクがエモコアに寄ってくるのは、この叙情性あってこそ、そういう面があると思います。

    そして。以下に音楽におけるエモコアの特徴を書きますが、、、
    動と静のダイナミズム: ささやくような静かなパート(叙情的なクリーンギター)から、一気に感情を爆発させる激しいサビ(絶叫や歪んだギター)への展開。この「感情の起伏」が、物語のような叙情性を生みます。

    なんかわかんないけど、もの凄くエモい。その正体は、多分この構造です。
    なんせ、これが、いわゆる「エモい」の語源らしいので。

    導入部。
    同時多発会話が使われていたり、日常の不完全なコミュニケーションの再現になっていたり、○かな演劇を静かに○○しているところは最高にチャーミングなポイントです。上記でいう静かなパートを普通にやってもつまらないので、○○しているわけですね。通好みといえば通好みでしょうけど、秀逸です。

    舞台はクリスマス当日。クリスマスといえば、マライアキャリー。まさに「今」です。音のセレクトとインアウトのタイミングは相変わらず天才的で、スーパーフライ、AKBフォーチュンクッキーなどの使い方は群を抜いています。その音楽マジックに酔いしれていると、ことの次第は突然マジックリアリズム風味な、地方の因習話になっていき、個人の内面の問題でこそないけれど、小集団の行き止まりが世界の浄化に通じている、まさにセカイ系自意識と表裏一体です。

    演劇自虐ネタセリフは相変わらず冴え渡っていますし、これは言わずもがな、芝居の登場人物が、「現実の観客が期待して観にくる、「フライヤーの裏に堂々と書いてあったあらすじ」であるところの劇中劇」を徹底的にディスるわけですから、それは見事なメタのひねりの効いた「自己言及」となっています。

    そして、世界は虚無で踊るしかない、という永遠の真理・安定の着地点には、お袋の味、ふるさとの安心感さえ感じます。

    エンディングのカニのパラパラシーンはあれは、誰がなんと言おうと「ダンスシーン」と認定させて頂き、「踊ったのか」の問いに対し、「踊った」と記しておきたいと思います。実際、人間のパラパラもありましたしね。
    ちなみに、カニがパラパラといえば、どうしてもカニチャーハンが思い浮かび、パブロフ状態で涎が出ました。

    「イマ」ということ。イマ、何を観せられているのか、それがわからなくなるということは、イマに自覚的になるということで、それこそが究極の現在性なのではないでしょうか。よく出来たメタ演劇の真髄です。マライアとか、下北の家賃とか、ヤクルト1000とか、ダゾーンに出てるとか、そういう今を凌駕する構造的なイマを確かに感じました。

    と、なんだかんだ書きましたが、全編ぶっ飛んだコメディだと思います。
    文句なしに刺激的、かつ面白い。
    劇団の皆様のキャラ設定も演技もとても良かったです。


  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    クリスマスの鍋パーティーっていう、まあ、今の時期に合わせた芝居なんですが。
    そこは松森モヘーさんなので。
    下北沢で、北沢っていう田舎町から上京した幼馴染たちが鍋パーティーをする。
    こんぐらがる。
    二人のゲスト。招かれた一人と、招かれざる同郷の一人。

    実際に舞台上で”鍋”を作ります。
    この生の食べ物の匂いの演出を、モヘーさんは最近好まれてるなって。
    不思議と心温まる気分になる鍋マジック。

    序盤こそとっちらかってる感じについていくのに、やや苦労しますが。
    嘘って言葉が裏返るあたりからは、引き込まれた。
    最後は想定外のやつが踊ってくれます。

    面白かった。
    幼馴染が集まることで、何かが開くってのは、スティーブン・キングっぽさを感じました。

    あと、雪が降るんですよ。綺麗だったな。

    ネタバレBOX

    サイトや当日パンフにある”あらすじ”と、当日も座席に置かれてる、折り込まれてるチラシの”あらすじ”。
    違うんですよ。
    モヘーさんは入れ子細工的なことよくやりますけど、ここもかーーーってなりました。

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