公演情報
「風神雷神図」の観たい!クチコミ一覧
期待度♪♪♪♪♪
公演は終えてしまったが・・・糸操り人形の一糸座にはどことなくアングラ、中でも暗黒舞踏系が香った事があったが(結城座とはまた異なる)、そのせいか芥正彦との共同製作と見て特に違和感はなし。だが一体どんな?・・とは訝しげに想像を巡らす。
芥氏については以前首くくり栲象らも共演した(天井からずっとぶら下がってた)大々的パフォーマンスを青山辺で観たあの「異臭」は強烈だった。この時のも含めてだが舞踏の常套は四つ足の獣なのだな。これが牙を剥いて人にシャー!とやったりが言うと何だがマンネリ。青山で観た時は豹が檻の中で右へ左へとこっちを見ながら歩いてるアレを、ずっとやっていたのが居て、それはそれで異様さ(不安=不快)を醸していたが、それが表現する幅というのは想像されてしまう。意味的には人間の原初形態への回帰、それこそが革新であり前衛、という観念を捉えたら、後は見続ける意味を見出せない(見た感じ美しくあるわけでもなく、ストーリーがあるわけでもないし)。・・そんな感想だった。
「観た」意義を手にして帰りたい人情とは別に、目に美味しかったのは首くくり。
さて今回のには、最近知った灰野敬二という音楽家が参加。インディペンデントで息長く活動する御仁が、どんな音を出したのかも気になったが、上演は終わり。
形代(人格を宿す人形というあり方)についてはどこかで宮台真司氏(今回呼ばれたトークゲスト)で熱く何かを力説していたのだが、イマイチ理解できず。ただ「俳優」が「ある人物」を代わりに演じるという関係が、無機質の人形を用いる事でより明確に体現され、なぜ観客はここに感情移入や同一化ができるのか・・と疑問に思う。探求し甲斐のあるテーマだ。しかも糸操り人形では動きは真にもって不自然であるし、制約が大きい。にも関わらず・・という所がある。実物の人間と競演するに当りステージでの映えは重要だし実物人間の「大きさ」は無視できないものがある。これはこれで「見せ方」の探求を続けて行って欲しいが、人形劇固有の「間」(操作上の都合で生まれる)も何故か違和感がない。奥深い。