光、一歩手前 公演情報 光、一歩手前」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-2件 / 2件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    (笑えた度)4.12(今感)4.12(完成度)5.15(平均)4


    Amazonでポチッた手持ちライトに照らされて、味のある高円寺の地下空間に映し出される全77話の絵巻物、目眩く寓話の世界。

    本当に大切なものは目には見えない。
    サンテなんとか、「目薬のような名前の作家」(©︎尾崎さん)が書き記した言葉を敷衍した珠玉の名言の数々。

    息つく暇もなく繰り出される言葉のシャワーに圧倒される100分


    ネタバレBOX


    手持ちライトに照らされた呪術的、幻想的な劇空間

    役者各人が手持ちしたライトと、スマホからのBluetooth接続での音響操作による圧倒的な空間支配。
    劇場内だけでなく、会場の特性により換気のため定期的に入口の扉を開けることによって、外部との連続を取り入れ、日常と非日常が入り交じる呪術的な劇空間を創出。

    言葉使いの魔術

    ホワイトボードに役者が手書きする文字、時にはヘタウマな絵により生じる詩情。詩人・歌人の土台を思わせる、アフォリズム(警句)、レトリック、言葉の音や連想を用いた複雑な言葉遊びや比喩表現の多用。日本語接続詞などのわずかな独特な表現によって、日常の言葉に詩情が溢れ出る。ナンセンスの原点はほんの少しの違和感にあったのだと気付かされる。

    機関銃のように繰り出される過剰なセリフと限界まで体力を使う身体表現

    言葉を洪水のように浴びせかけることで、観客は現実から引き剥がされ、演劇空間に放り出される。時には単独で、時にはささやき、時には複数唱和ユニゾンでつむぎ出される言葉たち。アントナン・アルトーを想起させる激しい身体性と非常にエネルギッシュな表現が、引き摺り込まれた観客を捉えて離さない。

    抒情的で詩的な世界観と宇宙規模で人間愛を語る文学的態度

    ノスタルジー、夢、記憶、そして純粋な愛や孤独を、非常に美しく、時に残酷に、詩的な言葉で描き出す。
    個人の孤独や、人々の愛憎を扱いながらも、その根底には人類全体や存在そのものへの問いかけがあり、スケールの大きな文学的態度を示している。


    我々はどこにいても、その相互の距離は1光年未満。日本のアングラの原点、寺山からの距離50年は誤差に過ぎない。偉大な作家の精神は、人類の記憶となって、何度でも繰り返して現れるのだろう。

    本作「光、一歩手前」では、POPな音楽に彩られて、人類の記憶が現代劇として見事に美しく昇華されている、そう感じた。


  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    改めて説明文のあらすじを読むと、こんな話だったっけ?と思ってしまうが、そんなことはもうどうでもよくなってしまうような、全77話で展開される約110分のハイスピード舞台。

このページのQRコードです。

拡大