ここが海 公演情報 ここが海」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    下手、ベッドの上に掛かっている絵画がやたら気になる。円柱形の建造物が二つ並んでいるだけなのだが何故か目が行く。それは謎。

    黒木華さんのショートカットは美しい。元モー娘。の福田明日香の若い頃みたい。黒木華さんは『星の子』での新興宗教教団員が強烈だった。炸裂するアルカイックスマイル。
    橋本淳氏は作家の分身。中田青渚(せいな)さんは細過ぎて驚いた。吉川ひなのの若い頃みたいだったが25歳とは···。

    今作は物凄く作家にとって重要な作品だろう。名声と地位を手に入れた今、社会的に意義のある作品を世に送り出したいという決意。誰も触れなければそんな問題すら存在しなかったことにされてしまうこの世の中。面倒臭い問題は下手に関わるよりも無視、見て見ぬ振りの方が楽だ。性同一性障害(性別不合)の人が身内だった場合の心境を真剣に考えている。役者の心理描写も繊細。何処までもリアル。当事者が観ても納得できるように。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    暗転時、壁が反転してセットが早変わり。あのベッドをどうやったのか?

    幻覚作用のあるシロシビンを含んだ茸はマジックマッシュルームと呼ばれ、日本でもワライタケなどは自生している。

    タイトルに込められた意味は分からなかった。

    結婚して17の娘までいる妻が4年前の仕事の取材での経験からずっと圧し殺していた性別違和を自覚。自らの中でひた隠して葛藤していたが到頭旦那に打ち明ける。旦那にはそれの受け止め方が解らない。「本当の自分」って何なんだ?

    ドラマとしての面白さを捨て、相手のことを想う丁寧な心理描写に力を注ぐ。2024年5月から12月までの家族3人の変化。男性ホルモン注射によって声が低くなり、ポケットに手を突っ込み、大股を開いて座り、ぶっきらぼうな抑揚のない早口に変わっていく黒木華さん。橋本淳氏が出来ることは「信頼を積み重ねていく」ことだけ。愛する者は変わっていくがずっと好きなままでいたいとの願い。どんな形であれ、君と関わっていたい。
    全ての問題は心で涙を流しながらも傷つけ憎しみ合わないように丁寧に育んでいこう。壊してしまうのは簡単だ。

    尾崎豊「優しい陽射し」

    何も悲しまないと暮らしを彩れば
    きっといつか答えは育むものだと気付く

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