十二人の怒れる男 公演情報 十二人の怒れる男」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-3件 / 3件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2025/09/21 (日) 12:00

    記録に誤り(抜け)がなければ観るのは通算22回目となる本作、元々の戯曲に複数の版がある上に演出(設定等も含む)の違いもあって何回観ても面白い。
    今回は終盤で10号を11人が拒否する場面で何人かは座ったままだったのが(記憶の範囲内では)初めてで、むしろリアリティを感じて「その手があったか!」と。
    また、口頭での採決時に「有罪……ではありません」という思わせぶり(?)な回答ではなく「無罪」だった他、省略された部分もあり進行がスピーディーな印象。
    その分、最近あまり観なかった有罪側の「犯行再現」や「賢いのか愚かなのか」部分、「被告はあなたお息子さんではありません」などがあって「それな!」的な。(笑)
    あと、過去にも複数あったが序盤での窓からの風に7号が寒さを訴え、席を替わる部分をカットして陪審員番号通りに座る設定は後から役者を確認するのに便利で支持。
    さて、次に観るのはいつ、どの団体だろう?(期待)

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    結論を出す事が期限付きで要請された密室の会議、という設定でどれだけの作品が書かれたか知れないが、「12人の怒れる男」なる名作の影響の大きさと作品自体のクオリティの落差が無い、のかどうなのかさえ検証不能な程スタンダードなあり方を呈している。
    日本人ならまず「12人の優しい日本人」がこの作品のパロディ界隈では嚆矢でであり孤高に君臨しているが、コメディとして抜きん出ていてもやはり原作の持つ精巧さとメッセージの強靭さには叶わぬな、と今回改めて思った次第。と言っても今回初めて議論の進行の仕方、問題点が浮上する順序に僅かな不自然を見出し、やはり矛盾がなくしかも面白い完璧な脚本は中々存在し得ないものだな、とも。
    長い前置きは閉じて。
    公演ごとにテキレジが大胆になる印象のハツビロコウであったが、今作は手堅く原作に忠実な(とせざるを得ない脚本でもあるか)芝居の作りであった。ただし本作の正しい審判のあり方を巡る議論とは別にもたげて来る世情を映したやり取り、例えば人種の違い、貧富の差(容疑者もスラムの出身)、高齢者差別(軽視)等の要素が(時代はそれ程特定しないが)噴き出す部分で、ハツビロコウは現代日本いやあの突如躍り出た政党という徒花を見ている今現在誰かの口から吐かれて不思議でない台詞(翻案に近い大胆な翻訳か)を言わせていた。
    民主主義の崇高さ、その可能性を説く教科書のような作品だが、場所、時代は戦後アメリカ。日本で作品を味わう時はどこか人種差別はアメリカにあるもの(黒人を奴隷としていたし)、スラムの住人が居る国情も移民大国アメリカのもの(日本は平等主義が強いので格差はあまりないが某国は実力社会)という感覚であった。今の日本はこの物語を「遠いの国の話」と安全なフィルターを通して受け取る必要がなくなった。自分の国で起きている事として見ている瞬間が幾度かあった。面目躍如。役者の揃え方にも大いに興味あり(大半を知らなかった)。キャラが粒立ってこその「12人」であり、この座組のユニークさ、魅があった。自分的にヒットは桟敷童子の稲葉氏の3番。最も観客の心を掴むあの役は、ああ彼に振られたのかと、そこも注視していたが、流石であった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    舞台版としては、この作品の設定を模した別作品を何度か観たことがあるが、オリジナルは初めて観た。ヘンリーフォンダ主演の映画も良いが、観客が視点を自由に選んで見たいキャラクターを見ることができる点で映画より演劇のほうが向いている作品と思う。B1独特の客席配置は、座席位置による見る角度の違いによる異なる印象を観客にもたらすだろうと思われ、この点も演劇の面白さと言える。原作についての知識がなく映画しか見たことがないが、本公演は奇を衒わないオーソドックスな台本と演出と思われる。幕切れのしかたは映画版よりこのハツビロコウ版のほうが明らかに良い。客演の桟敷童子の俳優さんは所属劇団でも性格俳優的というかあのような特徴的な役を演じられることが多い気がするが、本作でも重要な役に見事に塡まっている。

このページのQRコードです。

拡大