「遺すモノ~楢山節考より~」上演10周年記念公演 公演情報 「遺すモノ~楢山節考より~」上演10周年記念公演」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ダブルキャストの「若葉」の回を観劇。
    物語や舞台、衣装はシンプルながらも強い説得力があり、深みを感じさせてくれる。
    演出も空間のみならず、舞台上の役者の役どころまでもがらりと変えていた。
    当たり前のように観てしまったけれど、それも凄いなと。
    多くの人に訴えかけるものがある作品。

    ネタバレBOX

    厳しい山村で限られた食い扶持の中、生き抜いていくためのしきたり。
    その厳しさが描かれていく中で、相反するような振舞いに対してもどかしさを覚えつつ、違う環境、違う時代であれば好ましくも捉えられたであろうことに思いを馳せてしまう。
    どうにかならないものかと迷いながらも一つ一つの出来事が死活問題となる現実。
    「しょうがないのか」という気分にさせられる中での終盤、山の場面で思わず感涙。
    コミカルだった導入部分もここでグサッと刺してくる。
    「生きる」だけではない「生きる意味」が胸に重く響く。
    素晴らしい演劇でした。
  • 実演鑑賞

    過去10年に渡り、繰り返し上演されてきた演目とのことで、団体にとってある種のライフワークであり、かつ代表作と言えるでしょう。上演した年、上演した都市、そして上演した国もそれぞれで、特にこの10年というとコロナ禍の数年も含まれる訳で、そのひとつひとつの上演経験が、小さな積み重ねとなり作品へ影響を与えているのだと想像しました。物語は、映画版ではなく小説の『楢山節考』をベースにされているそうです。

    ネタバレBOX

    姥捨山の物語は日本で広く普及しており、物語の背景や概要などは多くの方がご存知だと思います。決して明るい物語ではないため、終演後の客席にはすすり泣く声が漏れ聞こえていました。僕が印象的だったのは、徹底した客観視というか、ある種「ドライ」と表現して良いほど、客観的な上演だったこと。(ただし、この感想は僕特有のものであると自認しています)。これは想像ですが、10年という長い稽古・上演期間を経て、幾度も肉付けされ、幾度も削ぎ落とし、肉付けされ、削ぎ落とし、の試行錯誤を繰り返した末の、2025年版上演ではないか…と考えます。これは、そう簡単に真似できることではなく、そのストイックな創作過程を想像すると、ひとつのことを突き詰めようとする精神の屈強さに驚かされます。その精神の屈強さは、今作に登場する、70歳を節目に山へ捨てられる「おりん」さんの精神に通ずるのかも、しれません。

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