未必の故意 公演情報 未必の故意」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-1件 / 1件中
  • 満足度★★★★

    懐かしい感じがした。
    終わった後の最初の感想は「懐かしいな」でした。
    どっぷりと昭和の演劇に浸った感触。
    昔の、携帯電話もネットもなく、嫌でも顔を突き合わせてつながらざるを
    得なかった濃い人間関係。
    いまのように、家の中にこもっていても生活できるような便利さはなく、
    人はそれぞれが属するせまい集団の中で
    どうにか自分の居場所を見つけなければ生きる事ができなかった。
    登場人物たちの持つ障害が、さらにそれを歪め、卑屈にさせ、必死にさせる。
    暑苦しくていびつな、発酵していそうな、なにかが臭ってきそうな、
    そういうある種の、集団が発する独特の雰囲気が練り上げる狂気をはらんだ作品。

    この脚本は、便利になってしまった現代人が演じるには非常に難しい上に
    若い人の共感を呼ぶのも難しい題材。掘り下げるのに限界はないが、報われづらい。
    「楽しむ事が優先」「観客に優しい提示」に傾いている
    現代のエンターテイメントとしては成り立ちにくいかもしれません。
    個人的にはそこが好きだし、それがこの舞台の良さでもあります。
    ただもしかしたらもう少しだけ、
    物理的に観客の眼を引く瞬間の演出が増えると
    見やすかったのかもしれないと思いました。

    人間の生態から生まれる濃厚な演劇。面白かったです。

このページのQRコードです。

拡大