朗読劇『少年口伝隊一九四五』 公演情報 朗読劇『少年口伝隊一九四五』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    鑑賞日2025/08/02 (土) 14:00

    高校生の頃から拝見している方が研修生ということで拝見。朗読劇なれど少し動きを伴う。皆さん、研修で広島を訪られたそうだ。皆さんの緊張が伝わって来る。舞台の真ん中に、焼けてしまった色にも見える段ボールの広島の街が

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    クラシック・ギタリスト宮下祥子(さちこ)さんによるフラメンコ奏法、実はこれが主役。背面のスクリーンに光や文字が投影され効果を上げる。
    舞台中央前に挿絵をジオラマ化したような巨大な広島市の地図が置かれている。物語の舞台となる比治山は標高71.1mの小高い丘。爆心地から約1.8km南東にあり、爆風を遮った為、比治山の東側は比較的生き延びた人が多かった。時折、その地図の上に砂を振り掛ける役者達。雨を表現。サーッという音。

    原爆投下による地獄絵図。蛆虫と蝿が地上の盟主。その中で必死に生き続ける者達。この生への執念にこそ人間の凄まじさがある。
    広島文理科大学の哲学教授、通称哲学じいたん(﨑山新大〈しんた〉氏)。
    「狂うてはいけん。正気でいなきゃいけん!」狂った世の中があったことを後の人に伝えなくちゃいけない。

    どんな状況になっても生き物は飯を食い水を飲み排泄し怒り泣き笑う。眠り目を覚まし思い巡らせ考える。

    本社が全焼した中國新聞社、輪転機も紙もなく、緊急の情報伝達手段としてメガホン片手に「声の新聞」、口伝隊(くでんたい)を編成。花江(向井里穂子さん)は旧知の仲だった国民小学校6年の三人に協力を依頼。焼跡を走り回り情報に飢えた被災者達に出来得る限り今の情報を伝え続ける。

    一度は味わうべき作品。

    ネタバレBOX

    枕崎台風は『この世界の片隅に』の長尺版、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』に追加されたシーンを観て覚えていた。だがここまでのものとは···。「昭和の三大台風」とされる超大型台風が9月17日の夜、広島市を襲う。まさに『ゴジラ-1.0』。原爆で一面焼け野原になった地は湖の底へと沈んだ。

    肩を叩かせる正夫の祖母(野仲咲智花さん)。
    一人、体操服の英彦の妹(田村良葉〈かずは〉さん)。
    正夫(和田壮礼〈たけのり〉氏)は原爆症で死ぬ。手榴弾で米兵に復讐を考える勝利(森唯人氏)は台風の中、小屋で溺れ死ぬ。英彦(菊川斗希氏)は哲学じいたんに叱咤を受けて生きる。石碑に刻まれた享年。やはり死因は原爆症。
    帰り、小学生くらいの男の子が椅子から立ち上がれない程号泣していた。

    当り前のように人々が死んでいく中、それでも生き抜く人間の物語。ジェームズ・キャメロンは現在製作中の原爆映画についてこう語る。「人間という存在が究極的な生死をかけた状況の中、自分よりも他者を大切にしていた事実」。瞬間的に身体を焼かれながら、それでも他の人を一人でも多く助けようとしていたこと。人間の根源には優しさがある。その優しさを信じて絶望の中から生きてゆけ。

    もっと長尺で観てみたい。これこそ映画化すべき。

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