公演情報
「新宿梁山泊 若衆公演「愛の乞食/アリババ」」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/06/19 (木) 19:00
座席1階
元ジャニーズの安田章大をメーンキャストに招いての2本立て。アイドルの登場に、客
席は若い女性で埋まった。アングラ劇を次世代に引き継いでいくというミッションを掲
げた新宿梁山泊の新たな挑戦で、しかも唐十郎の初期作品。どこまでテント演劇の魅力
が若い世代に伝わったか、その成果に注目したい。
豪華パンフレットに金守珍との対談が載っている。安田は「1966年に唐さんが書い
た作品が令和の今でもまったく古びていない」とテント演劇に取り組むきっかけとなっ
た気持ちを述べている。波長が合っているのだろうか。梁山泊の座組にすっかり溶け込
んで違和感がない。アリババで見せたテンポの速い長ぜりふも、ミスなくスムーズに流
れていく。アングラの近未来を支える逸材になるかもしれないと思った。
「愛の乞食」で、ヒロイン万寿シャゲを演じた水嶋カンナはさすがの存在感。25年前
にも若手公演でこの役をやったというが、恐らくかなりのパワーアップを果たしたので
はないか。登場曲がモーニング娘。だったのには驚いたが、セーラー服姿がとても似合
う。このインパクトはすごい。また、お約束のラストシーンは今作でも感動ものだ。
若い世代の観客のために、昭和のおじさんでないと分からないような用語集を収録した
パンフレットはぜひ買いたい。「緑のおばさん」「公衆便所」「下町の太陽」「金歯」
など、一読してから舞台を見ると面白さ倍増だ。さらに、テント演劇がどのようにして
作られるかという舞台設置の裏側や、新宿梁山泊の年表もついていて、これをきっかけ
にアングラファンになってほしいという思いがあふれている。
今回はカーテンコール恒例の金守珍による出演者紹介がなかったのは少し寂しかった。
本体公演の休演日に劇団若手による「若衆公演」をやっているのはいいアイデアだ。