この眩い世界にネガは瞬く 公演情報 この眩い世界にネガは瞬く」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い。えのもとぐりむ 作品(脚本・演出)の朗読劇。
    観る者の胸に余韻を残して、その先を想像させる そんな味わい深い作品。
    登場人物は、台詞から「ネガ」「ポジ」「部長」「母」「妹」そして「友人」といったところ。主人公 ネガ の高校1年の夏の終わり(9月)から社会人として歩み出す迄を、その時々のエピソードを時系列的に紡ぐ。

    少しネタバレするが、ネガは 色々な理由で引き籠りだった。そんな彼を、クラスの問題児であるポジが部屋のドアを壊し強引にネガを外へ連れ出した。外の眩しい光、その新鮮な気持を得て 学校へ登校するようになる。そして 写真部で4人の仲間と活動を始める。公演は、物語の内容はもちろんだが、音響・音楽や照明といった舞台技術の効果付けが巧い。例えば 上演前、劇中で乾杯をする場面があるため飲み物(ビール ハイネケンやコーラ等 )を勧めていた。そのシーンは、ハイネケンを思わせるグリーンの照明色にするなど、拘りをみせる。

    人を惹きつける写真は「もう二度と見(撮)れないと思う瞬間にシャッターを押す」こと。朗読は、その台詞を地で行くような瑞々しさ、そんな情景が浮んでくる。この公演を支えているのは、感情表現豊かに朗読する役者陣の力であろう。そしてラストシーンの趣に誘われ、新たな物語が始まるような予感…そんなことを思わせるところが好い。
    (上演時間1時間35分 休憩なし) 【Aチーム】

    ネタバレBOX

    舞台上、横一列に6つの椅子。
    物語は、高校1年の夏、2年の冬、3年の梅雨と季節を彩り、時々に車の騒音・猫の鳴き声、雷鳴、川に落ちる音など、短い音響で情景を効果的に表す。そして優しく癒すようなピアノの音色、また照明の拘りのある色彩と諧調がなんとも抒情的に感じられる。

    登場人物の「ネガ」「ポジ」の考え方や行動は正反対、写真に準え 性格や生活環境を対比しているが、もう1つ隠された意味が…。「ポジ」は「ネガ」に好意を抱いており、「ネガ」は幼い頃から女子の心。カメラのシャッターボタン、「ポジ」が「ネガ」の指に重ね、撮影チャンスをうかがう。そして「ポジ」が「ネガ」にキスした瞬間を捉えた写真、それはコンクリートに伸びた2人のシルエットを撮ったもので、最優秀賞を受賞した。

    「ネガ」の家は、両親と妹の中流家庭、なんの不自由もなく暮らしている。一方「ポジ」は、母子家庭で市営住宅 住まい、生活は荒れていた。部屋にはハイネケンの空き缶、そこで「ネガ」は初めてビールとタバコの味を知った。実は「ポジ」が「ネガ」を苛めていた生徒に暴行を加え、さらに コンビニからビールや猫の餌を万引きしていたことがバレて少年院へ。持っている幸せは当たり前で気づかない、そんな対比を巧みに描く。それは人の気持も同じで、「母」は引き篭りだった「ネガ」を外の世界へ連れ出してくれたのがポジなのに、今になって 彼の素行を気にして付き合いを止めさせようと…。

    「ネガ」は「部長」と結婚し、ニューヨークで写真個展を行うまでに成長した。その才能を開花させてくれた「ポジ」は少年院を出て、会場の外から見てくれていた。「ネガ」は後を追って声をかけたが、振り向きもせず…。なんとも印象的で余韻の残るラストシーン。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    良かったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    Bチームを観劇しました。
    朗読劇でしたが、役者さん達の感情豊かな表現に、どんどん惹き込まれました。
    情景が目に浮かんでくるような作品で、ラストは切なくて涙腺が緩みました。
    素敵な舞台でした。

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