わたしたちをつなぐたび 公演情報 わたしたちをつなぐたび」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    原作はイリーナ・ブリヌルの絵本。大池容子さんの描いてきた世界観と重なるのでオリジナルかと思った。記憶の遡行とメランコリックな歌。自分と世界とを紐解いていく精神的な旅。
    美術が見事、重量感を感じる様々な青銅の椅子が並ぶ。背もたれが高く格子状のデザインで梯子にも障子にも見える。

    森の奥深く静かに母娘暮らす小さな一軒家。
    動物の言葉が理解できる主演の少女、藤戸野絵さんに腕がある。「なんでどうしてなんで」の歌が良かった。
    背もたれが水平ではなく斜めに傾いている、変わった椅子を作る少路勇介氏。佐藤滋っぽい。歌声が忌野清志郎入ってる。
    少女の母親やサケの下司尚実さん。
    シカやリスの岩永丞威氏のブレイキン。
    シカやキツネの山田茉琳さんはストレッチのヨガポーズ。
    コウノトリの造形も匠。川の表現がとても繊細で美しい。

    「何故、自分には父親がいないのか?」ある日ふと母親に尋ねた少女。母の答は「ある日、コウノトリが運んで来たの」。そんなディズニーな世界観、今じゃあ乗れないよ。だがどうやらマジらしい。運んで来たコウノトリに経緯を聞く。リスがサケがキツネが···。自分のルーツを辿る旅。それは偶然なのか必然か。自分は一体何なのか?

    ネタバレBOX

    前半がちょっと退屈。歌以外にネタを仕込んだ方がいい。椅子屋の時事ネタなんかで観客の目先を弄ったり。「動物と子供のfriendship」だと作品のフレームを読んだ連中に一発かましたい。

    冒頭に登場する椅子屋が孤児院で少年として存在している。まさに時間の遡行。だが彼は言う。母親が見つかったのに君は何故ここにいるの?ああ、時間は一方向にしか流れてゆかない。過去に戻ってももうそこに自分はいない。自分がいるのは未来を見据える現在にだけだ。それがどんなにうんざりする現実だとしても。少女は名前をユメと告げる。母親はコウノトリが運んで来た赤ん坊に自分の夢を託した。きっと自分の果たし得なかった夢さえ叶えてくれる筈。終演後の客席、ボロボロ泣く母親に幼い娘が「ママ、どうして泣いてるの?」と訊いていた。母親は何も答えない。

    怪獣大戦争マーチ(自衛隊マーチ)が流れるロビー。
    下に降りると劇団白昼夢がアトリウムにて15分程度の公演を無料開催。詰襟学生服に白塗りの三人組。土方巽起源の伝統的アングラスタイル。自転車紙芝居屋。令和では異形の異化効果よりも野性爆弾のくっきー!みたいな面白いことをやる人の捉え方。

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