期待度♪♪♪
マドリマニア・マドリマギカ
家も一つの舞台と考えれば、間取りは立派な舞台芸術(笑)。
興味のない人には家の図面を観て何が面白いのかと訝しまれることだろうが、世の中には間取りマニアというヘンな人々が確実に存在しているのである。私ですけど。
エンタテインメントとしての「間取り本」で、一番有名なのは、舞台美術家・妹尾河童の『河童が覗いた~』シリーズだろう(ほら、ちゃんと舞台美術と関係がある)。河童さんの精緻な筆致で描かれたヨーロッパやインドやニッポン家屋の俯瞰図は、ちょっとした調度まで詳細な解説が付けられており、まるでリカちゃんハウスを覗き見ているような楽しさに溢れていた。
けれども河童さんの本はあくまでイラストレーションとして面白いのであって、「設計図としての間取り」の面白さを伝えるものではない。真の「間取り図」とは、何の調度も描かれていなくとも、ただ壁と柱の位置と、部屋の用途が書かれているのを観るだけで、なぜか面白いのである。単調だからこそ、その間取りの歪つさが目立つのである。
そういう種類の間取り本も、いくつか発行されている。『ヘンな間取り』シリーズがそれだ。窓が全くない部屋、迷路のような部屋、廊下が異常に長い部屋、「ここにどうやって住めと?」の惹句にウソはない。でも実際に住んでる人がいるんだよね。人は住まいをよりよくしようとして、かえって環境を悪化させてしまうもののようだ。
そんな楽しい間取りばかりを集めて観てやろうという人気のイベントが、ついに福岡に初上陸。楽しみで仕方がない。前売予約は即日完売で、もう当日券しか残ってはいない。なんだ、やっぱりマドリマニアはいるんだね。