公演情報
「なべげん太宰まつり『駈込み訴え』」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
渡辺源四郎商店が毎年ゴールデンウィークの季節にスズナリで行う公演シリーズ。今年は太宰治をテーマにして、口開けは1日だけの公演。30分に構成した「駈込み訴え」一人芝居の上演と、「駈込み訴え」を上演しようとしている高校演劇部の物語60分(第70回全国高等学校演劇大会(ぎふ総文)優秀賞受賞作品)を組みあわせて上演。全体で95分。
https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/05/post-43df1d.html
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/04/27 (日) 15:00
昨年の高校演劇の全国大会で優秀賞に輝いた青森中央高校 演劇部の『駈込み訴え』が、ザ・スズナリで上演された。これまで二度拝見して、個人的には 2024年に拝見した 317作品の内のベスト10%に挙げた作品で素晴らしい上演だった。今日スズナリでの再演と言うこともあり、高校演劇ではあるのだけど、こう言わせてもらっても良いのではないかと言うことでコメントをさせていただくと、岐阜の全国大会での上演でも新国立劇場での上演でもそうだったのだけど、イエスとユダを演じられたお二人の演技が飛び抜けていた。何人か来ておられたシアターゴアーの方も同じ感想をおっしゃっておられた。
そして、青森中央高校 演劇部の『駈込み訴え』の前に 30分版の『駆込み訴え』を一人芝居で演じられた下山寿音さんがまた素晴らしかった。下山さんの目の力が凄かった。いや、それ以外の演技も素晴らしかったのだけど、畑澤聖悟さんの演出と合わせ出色の上演だった。
その下山寿音さんの一人芝居での『駆込み訴え』が上演されたことで、その後の青森中央高校 演劇部が演じた『駈込み訴え』のガイドラインが示されることになり、『駈込み訴え』が初見の方達の大きな助けになっただろう。
そう言えば、開演前の待機列で、先頭におられた高校演劇ウオッチャーの方達、お一人は大阪から観に来られ、もうお一人は、岐阜でご覧になられ、もう一度ご覧になりたいと、青森まで遠征され上演を追いかけられたと言う方達とひとしり青森中央高校 演劇部の『駈込み訴え』を語る機会に恵まれたことも素晴らしい機会だった。
実演鑑賞
満足度★★★★★
太宰治の『駆込み訴え』と映画『ジーザス・クライスト・スーパースター』は自分のキリスト観を築いた作品。常にこういう視点で見てしまうのでユダに感情移入は避けられない。そしてあぶらだこの『PARANOIA』。かなり歪んだ感覚だろう。裏切り者の裏切らざるを得なかった純情を謳う。愛なのか復讐なのか、突き詰めればそれは同じ意味なのか。キリストの物語は未だによく判らない。死にたがりの救世主モドキとその一番の理解者との愛憎物語。ただハッキリしているのはキリストが無敵の神様ではなかったこと。純情を貫いた弱者だった。だから皆トラウマとしてずっと抱えることになったのだ。
①下山寿音さん一人芝居『駆込み訴え』
本編50分程度の原作を30分の下山寿音さん一人芝居に凝縮させた。下山寿音さんは友近の若い頃のようなド迫力と仙道敦子の可憐さが備わった美人。とにかく迫力があって目を奪われる。目力が強い。本当に瞬きをしない。三船敏郎か?
ユダがキリストを本当に愛していて他の誰にも触れられたくなかった気持ちが痛い程伝わる。この人の真の美しさを知るのは世界中で自分一人だけだと。こんな下らない救世主ごっこはもうやめにして静かに田舎で暮らしましょう。何も不自由はさせませんから。だがキリストは破滅に邁進する。自分のことなんて目もくれない。
②青森中央高校演劇部『駈込み訴え』
これはやられた。高校演劇大会の演目に『駆込み訴え』を選び練習を重ねる演劇部の物語。キツい部長(福井来寿々〈こすず〉さん)とこき使われる同学年の演出助手(丹羽桃嘩さん)。厳しい縦社会、嫌気が差して辞めていく下級生達。
福井来寿々さんは松岡菜摘似の美人で存在感がある。
主人公、丹羽桃嘩さんも負けていない。表情に力があって観客の心を揺り動かす。
何かゆるいギャグが散りばめられていてああ学生演劇と思わせといての狙いすましたキツい一撃。『駈込み訴え』の内容を現実の学生生活にだぶらせる仕掛け。これには太宰治も参ったろう。こっちも参った。『駈込み訴え』をお話ではなく、今の現実の一部として描写。これぞ天才の成せる技。台本も買いました。本当に叩きのめされた。こういう作品と出逢う為に皆足繁く劇場に通い詰めているんだろう。