実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/03/02 (日) 14:00
現像、現像液の臭い、私自身写真を現像したことは無いがフィルムカメラの時代に生きていたので知識として知っている。この作品は写真に纒わる2つの話。戦艦の暗室と、津波にのまれた大切な写真、見付かったけどその泥に塗れた写真を洗浄する作業室。暗室の作業で体を斜めにするのは印画紙の液を切るためだろう。観客の大半はこの一連の動作の意味が最初は判らなかったと思う。所作として暗い照明の中で美しい。写真洗浄も然り。
二つの話を表す 5人の俳優は文句なく良い。戦時における写真、津波被害に遭われた方々へ差し伸べる救いの手。それぞれの話に引き込まれる。が思わぬ展開が仕組まれていて驚いた。予想だにしないことになるのだ。そしてそれも納得させられる。そのあたりを含めて良い戯曲だ。良くこの写真に纏わる、それは水に纏わることでもあるのだけど、二つの話を結び付けたものだと感心する。
あの泥に塗れた写真。亡くなったあの人の思い出を取り戻す手掛かりとなる作業。そしてその作業のお陰で思い出と出会えることを思うと涙が滲む。まあ綺麗事だけでは済まないと言うのが前述の思わぬ展開なのだけど。が困った、ぐしゅぐしゅした鼻、とにかく静かな上演なので鼻をかむタイミングがないのだ。終演後皆さんが捌けるのを待った。文句を言いたくなるのはそこだけだった。