公演情報
「ユーのモ熱132」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★★
観終わった後、モヤモヤして、数日経ちモヤモヤの正体がはっきりわかった。
「映画監督のカンパニーだからきっとこんな感じかな」
それは勝手にそう思っていた自分へのモヤモヤだった。
想像の何倍もイカれた演劇だった。荒唐無稽で支離滅裂で、それは人間やその人生そのものだった。なにより演劇でしかできない無駄≒勿体なさを信じ、愛している演劇だった。それが登場人物たちの死生観につながった瞬間、あんなにも荒唐無稽で支離滅裂な物語がひとつの説得力を持たせるのだった。理屈ではない、エネルギー由来の説得力。
私が目撃したのは、地球が終わる前夜の終末論に見せかけて宇宙が生まれる前夜の出発論だったのかもしれない。
死の瀬戸際の哀しみと思いきや、生の間際の歓びだったのかもしれない。そんなことを思った。
そして、そんな生と死を飛び越えてでも、あるいは繰り返してでも果たしたい出来事はあって、それは友だちと食べきれないほどの料理を作ってみるだとか、それを「やっぱ食べきれないね」なんて言いながら沢山時間をかけて食べるとか。そういう無駄なき無駄だったりする。なんてことない営みと愛すべき勿体なさを繰り返しながら生きて死ぬし、多分死ぬまでそうやって生きている。生きていく。生きていたいなと思う。