幽霊のような青 公演情報 幽霊のような青」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    『銀河鉄道の夜』を下敷きにラップやダンスを交えつつ「演劇」がなくなった世界とそこに生きる人間の孤独≒俳優の孤独が描かれていた。

    ネタバレBOX

    と私は感じたのだけど、俳優によって俳優の孤独が作演される以上観客としてはある種の反射としてどうしてもそこに自己憐憫やナルシズムを感じ取ってしまう。のですが、演劇がなくなった世界で孤独を感じるのは俳優だけではない。そう立ち返った時に原作に通底するメッセージ性が色濃く乱反射する様でもあった。自己犠牲もその一つ。何の/誰のためにと問うシーンがあり、これがあるのとないのとでこの作品の印象は全く違うものになると思う。男は何度も独りぼっちだ、と溢すが、その度にそこでは終わらせまいと言葉が降り注ぐ。海や空やその青が誰のものでもないように演劇も孤独も誰のものでもない、とでも言うように。それだけに、もう少し"二人の物語"感からの脱出も見たかったようにも思った。構図としてそうならざるをえないことは分かりつつ、もっと原作から解き放たれてほしいという思いもあった。

    列車というある意味ワンシチュエーションながらラストにかけて拓けていく空間の中、そんなことを思っていた。そして私は踊り子を演じたアヤ・アラネイさんから目が離せなかった。はける度に早く出てこないかなとすら思うほどだった。ずっとここから見ていたい身体性。ずっとどこかから見られているような瞳。美しくて妖しくてどこかこわい佇まいだった。踊り子の存在があるのとないのとでもやはりこの作品の印象は全く違ったものになると思う。衣裳も好き。

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