ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE 公演情報 ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.3
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    いずれも現代的な作品の2本を一つの作品のようにも見えるようなやり方で上演している。意欲的な公演で、かなり雰囲気は異なるこの2本を連続させたのは興味深い。前半のほうは、いちおうテロ事件が要にはなっているけれども、それよりもさまざまな人の不安感やフラストレーションや鬱屈した感じが伝わってくる。後半ほうは、大晦日の、混乱した状況で禁句ワードも遠慮無く発せられる収拾のつかない大騒ぎが描かれ、まとまることのない不条理な会話が飛び交う。シアタートラムの舞台の、あんな高い所まで使うとは。

  • 実演鑑賞

    満足度★★

    「PORNOGRAPHY」(2007年初演)、「RAGE」(2016年初演)と、ほぼほぼ10年くらいの間隔が空いている
    同作者の劇を連続上演するというなかなか野心的な試み。両者をつなぐのは舞台中央部分に大きく張り巡らされた
    ”黄色いテープ”。このテープは立ち入りを禁じたり、境界線の役割を演じて空間を区切ったりと各所で活躍してました。

    「RAGE」、「悲劇喜劇」に掲載された台本も読んだけど、台本に明示されていないことで最後に行われた“演出”が
    2本続けて見ていると「うわぁ……」と後味悪いまま帰路に着けるので、ぜひぶっ通しで観てみてください!

    ネタバレBOX

    ・「PORNOGRAPHY」

    おそらく劇タイトルには、ポルノと同じく人前には決して出せない秘密、赤裸々で生々しい物語……という
    意味が込められていると思うのだけど。

    この作品は、2005年7月7日早朝に起こった「ロンドン連続爆破テロ事件」の前後をピックアップして、
    男女たちの普段は抑え込んでいる感情を描いたもの、といっていいと思う。

    女性教師のストーカーと化して自宅に押しかけて拒絶される男子生徒、8年ぶりに再会した大学教授と
    元教え子、近親相姦のタブーを踏み越えていく兄妹……といった世間的にはままならない関係にある
    人たちが爆破テロをきっかけに意識無意識的に変化を遂げていく、という主題なのかと。

    ただ、テロ事件とその真っただ中にいる人たちとの関係が薄かった気がする。最初、この1人ないし
    2人で出てきて独白していくこの人たちは「犠牲者」で、彼らが報告する日常がこれからも続くと
    思われていたが、不意の事件で永遠にさ迷う「死霊」になってしまった……という設定なのかと
    思いきやそうじゃないみたいだし。

    ありていにいうと、主題が「ロンドン爆破テロ事件」じゃなくても、この作品って通じちゃうんだよな、と思ってしまったんですね。

    もしかしたら作者は凄惨な事件が起こっている裏でも、人々の大部分はいつもと変わらない日常を送り、
    でもその内心は普段の生活とは違ったドロドロしたものも見え隠れしてて、それこそが人間だよといいたかった?

    でもそうなると、終幕近辺でテロ被害者の数字を一つ一つ挙げながらその人となりを伝えていく箇所がボヤケて
    しまうんだよな……。犯人の独白を他の人たちと同列に扱ったのは良かったけど、逆にどういう姿勢でこの
    作品を見たらいいかちょっと首を傾げたかしら。

    ・「RAGE」

    演出の効果として、「PORNOGRAPHY」で使った引き裂かれた黄色テープがそのまんま舞台上に残されているので
    見ようによっては「PORNOGRAPHY」の続編とみなすことができそう。少なくとも演出家はそのつもりで構成している
    だろうと。

    内容的には、2015年大みそかのロンドン中心部を舞台に、浮かれた人たちの乱痴気騒ぎをまんま描写した1時間のコメディ。
    そのあわただしい作品世界の中に、ますます富んでいく人とますます乏しくなる人を大量生産する社会システム、ユダヤ人や
    不法移民ら異質な存在に向けられる人々のうっすらとした排除の心情などをチラッと浮き彫りにさせていく狙いがあるのだろうけど

    それにしてはドタバタとかなりなファンタジー(?)成分が邪魔して物語に入っていけなかったかな……。1時間なはずなのに
    長く感じてしまった時点で、作劇的にはちょっと失敗している気がする。

    ただ、台本には書かれていない独自の演出として、「PORNOGRAPHY」でテロ犯人役を演じた男を、最後の最後で無言のまま
    登場させてそこに銃声(爆発音?)をオーバーラップさせつつ、登場人物の一人の「はっぴ~にゅ~いや~」で幕を閉じるの、

    すっごい皮肉になっていると同時に、10年たった今でもロンドン、いや世界はいまだに「テロル」の危険の中にあるという警告として
    すごく狙いと効果がクリアな演出だと感じて震撼しました。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    英国現代演劇の作家の同じキャストで二作連続公演。共に群衆劇でロンドンの今を描いている。舞台は「ポルノグラフィー」が2005年のロンドンオリンピック反対運動でテロが起きた日、「レイジ」は2015年暮れ。新年を迎えるまで。長い。計3時間20分。
    前者が市民が混乱する中、個人とその周囲の数少ない人間関係が描かれ、後者は大晦日の風景の中での社会関係の花果の人々が描かれている。イギリス経験が豊富とは言えないが、いかにもイギリスの市民風景の中でヨーロッパに住む人々の現代の心情風景が多角的に描かれていて、始めて見る作家ながら、うまいものだと、感心させられる。まずは作家の旨さ。
    前半の作品のスジはテロで犠牲になった56名の死者を呼び起こすようなスケッチだが、軸にセックスを置いて、そこへ現代社会のいらだちを反映させている。エプロンステージのような凹型の裸ステージを置いて、そこで出演者が次々と主に「語る」。一つのエピソードの出演は一人か二人解きに4人になることもあるが、それぞれ話は独立している。語るヒトの生活も違う。そこをつなぐのはロンドン地下鉄、トラムで、ロンドンの主要駅が次々に出てきて、そこでロンドンの生活感を担保するあたり上手い。まさかそれで日本の上演を世田谷線のホーム続きにあるトラムにしたわけでもないだろうが、そんなしゃれっ気もありそうな気がしてしまう。
    演出は桐山知也。始めて見る若い演出家だが、前編をノーセットの閉鎖的な舞台に、後半は劇場中幕を上げて高さのある天井を生かして階段セットを4階まで作り、さらに客席までも使って市街劇の感じを上手く出している。後半のスジを運ぶのは中年のタキシー運転手と、酔っ払って車内でゲロを吐いた客の女。酒場で暴れて警官三人に抑えこまれる若い男。それを見ている孤独な初老の女。その騒ぎが起きる広場には穴があって、そこは未来に通じているらしい。こういうありがちな話の閉め方もうまいものでリアリティを崩さない。この演出家、前編、後編をきっちり分けてみせる手数も若いに似合わず上手い。これからか、ちょっと次も見て見たい。俳優はそれぞれいろいろな役柄を演じることになるが、半分以上は若手の芸達者がでているので長丁場も安心して見ていられる。
    スタッフでは、音響が良かった。音楽がない分現実感を抽象音を巧みに選んで作品のリズムも作っていた。まぁこの劇場もよくできていると言うこともあるのだが。
    イギリス演劇の底力がよく出た作品だ。

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