広くてすてきな宇宙じゃないか 公演情報 広くてすてきな宇宙じゃないか」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
1-1件 / 1件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「演劇集団わるあがき」の最終公演。
    この演目 最近観たが、近未来に出現するかもしれない世界、そんな寓話劇のよう。上演前から男の子(カシオ)が舞台上にいる。1人 ラジオを聞き、雑誌「星座と宇宙」とその付録で楽しんでいる。ラジオから聞こえる声は、劇団の10年の歩みへの感慨、そして歌はaikoの「瞳」が流れる。
    10年間の演劇活動、お疲れさまでした。そして ありがとうございました。
    (上演時間1時間10分 休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は暗幕で囲い、上手にシーツ(スクリーン代わり)を掛け、その前に腰高の衝立(TV局)、下手に台(別場所)があるだけのシンプルなもの。
    物語は、ミザールの脇にあるアルコル その微かな光しか見えない恒星を柿本家とおばあちゃんに重ねている。その寄り添いが大切だと…。その<思い>を強く印象付けている。

    物語は、TV報道番組で Family Rental Service(略称FRS)がアンドロイドの貸し出しを始める、それを中継を通じて報じるところから始まる。ニュースキャスターの柿本光介は、試しにアンドロイドの「おばあちゃん」を柿本家に迎え入れた。 父 光介が勝手に話を進めてしまったこともあり、 三人姉兄妹の反応はまちまちだ。長女(中学3年)のスギエや長男カシオ(中学2年)は おばあちゃんの優しさに癒され、少しずつ彼女との距離を縮める。 しかし末っ子のクリコ(小学6年)だけは おばあちゃんを拒み続けた。その頑なさが拗れ周囲は勿論、東京中を巻き込む騒動へ……その緊急・非常事態にも関わらず、全体的にゆったりとしたテンポで緊迫感が弱いところが惜しい。また一見すると スギエとクリコの年齢が逆のような違和感、見た目も重要だと思うが。

    テーマは「人とアンドロイドの関わり」。 母を失った子供たち…スギエ、カシオ、クリコの三姉兄妹。 アンドロイドおばあちゃんは、あくまで 彼らの「おばあちゃん」として優しく接していく。 しかしクリコにとって母は1人だけ、おばあちゃんでは「代わり」は務まらない。 おばあちゃんは それを承知でクリコと向き合い続ける。 アンドロイドの命は尽きないが、エネルギー充電は必要。クリコは、おばあちゃんをFRSへ帰すよう働きかけ、そこにもう1体のアンドロイド「ヒジカタ」が登場して緊迫感を増していく。

    FRSにいるのは全てアンドロイド。ヒジカタは介護用アンドロイドとして病院に派遣されていたが、人の死によって責任を問われた。おばあちゃんとは異なり、ヒジカタは 生死に関わる人間とアンドロイドの違いを重く受け止めた。 アンドロイドの派遣役割などで状況が異なるのは生きている人間も同じ。人はアンドロイドと違って もっとハッキリした感情で揺れ動く。重苦しくなりそうな内容だが、終始明るいおばあちゃんのおかげで救われる。ただラストは、おばあちゃんとクリコの邂逅だが、そこには近々ヒジカタと同じような立場で介護問題が横たわるような…。

    アンドロイドおばあちゃんの髪の毛は白銀。母親代わりではないおばあちゃん、そしてアンドロイドの もしもの時のエネルギーの代替となる(太陽)光を吸収しやすい色にしている。ラストは、シーツに星の輝きを映し出す。

このページのQRコードです。

拡大