騙り。 公演情報 騙り。」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    父と息子の神話
    オイディプスの物語をモチーフに父と息子の関係が、ライブ映像や独特な色彩感の照明を用いたスタイリッシュな演出で描かれていて、仄暗い晦渋さが不思議と心地良かったです。

    父の息子に対する性的な妄想も入り交じった屈折した思いが詩的な台詞で紡がれ、極端に難しい単語や言い回しを使っているわけではないのですが、ストレートに腑に落ちない浮遊感がありました。よく分からないながらにも惹き付けられる魅力がありました。
    主役である父のモノローグ的な台詞が大半で、普通に話すだけでなく、マイクを使ったり、録音を使ったり、文章を字幕で流したりと様々な表れ方をするのが印象的でした。かなりの分量の台詞を、狂気に侵されたように語り続ける手塚とおるさんが素晴らしかったです。シシュポスのエピソードを思わせる終盤のシーンに独特な質感がありました。

    少し高く上げられた舞台中央の両袖に稼働式の大きなスクリーン状の壁があるだけのシンプルなセットでしたが、オレンジを基調とした照明や、青や緑のスポットライトが空間の雰囲気を変えていて、美しかったです。壁の後ろでスポットライトを受けて浮かび上がる役者の姿が幻想的でした。西洋の宗教曲と日本の雅楽という不思議な取り合わせの選曲も作品に上手く合っていたと思います。宇野亜喜良さんらしいダークさがあるメイクアップと衣装も良かったです。

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