実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/11/27 (水) 14:00
座席1階
コメディ・ユニットとコリッチの紹介文にはあるが、今作「雲のふち」はコメディからはかなり距離を置いた、どこか哀愁漂う舞台だった。
下北沢・駅前劇場のスペースを三つに分けて客席を設け、中央には人工芝とベンチ。入口近くにはマンションの廊下とドアがしつらえてある。丁寧に作ってある舞台美術に好感が持てる。
この人工芝は実は、公園にあるフットサルコートで、舞台は愛娘のフットサルの試合を見つめる父親というところから始まる。説明はないが、どうやらシングルファーザーのようだ。仕事が忙しいながらも娘との時間を持とうと努力しているが、思春期の娘は父親がくっついてきて試合を見たりあれこれ世話を焼いたりするのがうざったいという感じだ。公園を訪れた男性二人が今し方見てきた映画の話をしているのだが、娘との会話の流れから、父親がなぜか強引に男性二人の話に割って入るという、やや無理筋の展開で進んでいく。
舞台を見終わって思うのは、この戯曲は何がテーマなんだろうという感情だ。父と娘、それとも映画や役者さんの話? それは見た人それぞれが受け止めればよいことなのだと思うが、自分には今ひとつ消化不良感が募った。見ていてストンと落ちるものがあると、ぐっと好感度が高まるのだが。
ただ、登場人物が繰り広げる会話劇がつまらないわけではない。話はそれなりにおもしろいし、笑える部分もある。ただ、物語が一直線でなく複合化しているいることもあって、分かりにくいと感じた人もいたと思う。
もう一つ、とてもかわいい女優さんなのだが、さすがに思春期の娘というにはどうなの、と思った。いえ、外見の話というよりは、しゃべり方や雰囲気がとても大人びていて、思春期の女の子には見えない、という意味だ。これもわかりにくさの一因であるかもしれない。