満足度★★★★
マイムとダンスの融合
全幕は初見、断然全幕がよい。クラシック離れした表現が多く、エンターテイメント性が高くて楽しい。作品がよいうえに、老舗の風味か、笑わせが自然で鼻につかない。
満足度★★★
ソリストが魅せるコミックバレエ
荒々しい女性を荒々しく扱って淑女にするという、シェイクスピアの喜劇をバレエ化した作品で、軽快な音楽に合わせたユーモラスな踊りが楽しかったです。
メインのキャタリーナとペトルーチオに関わるエピソード以外は省略や改変されている箇所が多く、ビアンカを巡っての変装や偽の父親をでっち上げる話も出てこないため、騙し合いによる面白さは薄れていましたが、原作よりも見通しが良くなっていました。
振付は基本的にクラシックバレエのスタイルですが、殴ったり蹴ったりする動作が含まれていたり、決めのポーズが羽交い締めだったりとコミカルで、終盤の2組のパ・ド・ドゥの優雅さが引き立っていました。
セットも衣装もブラウンを基調とした彩度の低い色合いで、派手な照明効果もなく、和やかな雰囲気でした。
キャタリーナを演じたスー・ジン・カンさんは荒々しい振る舞いと、その合間に見せるションボリした感じの対比がとても可愛らしく魅力的でした。
ペトルーチオを演じたフィリップ・バランキエヴィッチさんはワイルドな力強さがあり、圧倒的な迫力がありました。
群舞はズレが目立ち、あまり精密さは感じられませんでしたが、楽しげな雰囲気が伝わってきて良かったです。第1幕ラストで全員がドミノ倒しになり、そのままの状態でカーテンコールをしていたのがユーモラスでした。
新古典主義時代のストラヴィンスキーやプーランクのようなスタイルでスカルラッティの旋律をアレンジした音楽はキビキビとしたリズム感が心地良かったのですが、前半はオーケストラの演奏が少々ギクシャクしていたのが残念でした。