Proof 公演情報 Proof」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、登場人物4人による濃密な会話劇。
    本作は ピュリッツァー賞やトニー賞を受賞した名作で、「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」(邦題)として映画化もされている。日本でも様々な団体が上演している。

    このスタジオにあった演出をするなど 工夫を凝らした好公演。また演出だけではなく、演技も確かで 比較的小さなスタジオ内に心地良い緊張感が漂った。
    (上演時間2時間 休憩なし)

    ネタバレBOX

    囲み舞台で、中央にテーブルと椅子。奥の壁際に4つ椅子が並んでいるが、楽屋へ出ハケしないため 登場しないキャストの控え場所。舞台と客席の間に衣装や鞄などの小物が円形状に置かれており、物語の進行にともない これらに着替え モノを使う。場転換時に薄暗くして着替えるが、その姿がシルエットになって観えることから 時間が途切れることなく流れているようだ。

    シカゴ、冬。シカゴ大学教授のロバートは 天才肌と言われた数学者であったが、精神を病み5年の闘病の後、多くのノートを遺して世を去った。次女のキャサリンは、父の数学の才能と不安定な精神を受け継いでおり、孤独のうちに父を看取る。父を亡くした数日後、 父の教え子であるハルが 父の残したノートを検証したいと。また、ニューヨークから来た長女のクレアと家の売買を巡り激しく対立する。葬儀の夜、ハルはキャサリンに 前から気になっていたと告白し、2人は夜を共にする。キャサリンは大切なノートをハルに託す。そこには、世界中の数学者が解こうとして叶わなかった、ある「証明」が書かれていた。そして…。

    この「証明」を巡って4人の主張と思惑が対立し、夫々が抱いている相手への感情や自分自身が抱えている葛藤が浮かび上がる。「証明」が未知のものであり、検証可能か否かといった問題はあるが、少なくとも価値は確か。どのような「証明」なのか、その中身が重要なのではない。このノートの存在が明らかになる迄、そしてノートの筆者と真偽を巡る過程に人間観のようなものが浮き彫りになる。優秀な数学者の才能を受け継いだ、そこには本人も自覚する才人と狂人という紙一重の怖さが存在する。人間観察のように興味深く、時に気味悪いような人の本性を突き付けてくる。例えば、ハルの業績横取りやクレアの遺産目当てといった欲望、そんな疑惑を抱かせ 人間の暗部を炙り出す。

    舞台技術…照明は全体的に明るいが、場面転換の時に薄暗くし その中で着替える。風呂上がりのシーンなどは、髪を濡らし臨場感を出すといった丁寧さ。また心情表現は、黄昏色の照明を前後から照射し印象付ける。小さな空間、テーブルを回り込むことによって状況と情景に変化をつけ、激情的な会話によって緊張感を出す。人物の関係性は明らか…1人で父の面倒を見てきたキャサリン、妹に任せっきりでニューヨークに住んでいるクレア、亡くなってから遺されたノートを探すハル、その人物像を如何に表現するかが物語の肝。そのキャラをしっかり立ち上げた人物表現はよかった。
    次回公演も楽しみにしております。

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