実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/14 (土) 14:00
座席1階
難解な戯曲だ。もちろん、主題は理解できるし、役者たちが織りなすせりふのキャッチボールも分かる。考えれば考えるほど理解が遠のく戯曲はあると思うが、この作品は自分にとってそういうタイプなのかも。だから、感じるままに受け止めればいいと思う。
冒頭は衝撃だ。暗転が解けると天井から大きな球体がぶら下がっている。さまざまな原色に照らされて光る球体。そして大音響。戦争を表している。
そこに、女性二人が男の兵士を背負うようにして登場する。兵士は生きているのか。少なくとも瀕死のようだ。この兵士を囲むようにして二人の女性の掛け合いのような会話で進行していく。
どうやら戦争はかたづいている世界のようで、戦いをやりたがりの男たちのために戦場として使う砂漠があるとのことだ。とすると、この兵士はそこから運び込まれてきたのか。
戯曲の中心をなすのはこの二人の女性の言葉だ。発言が切れるところで「イエス」という言葉が挟み込まれる。イエスという言葉でそれぞれの発言をそしゃくし、理解しようとしているようにも見える。客席はこれらの言葉のキャッチボールを体に取り込んでいかねばならない。
寺山修司の戯曲を演じ続けている池の下だが、こうした海外作品も取り上げているようだ。いつもわかりやすい会話劇ばかり求めていた自分には、結構新鮮な体験となった。