Silent Sky 公演情報 Silent Sky」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    『unrato#10 三人姉妹』も『unrato#11 月の岬』も素晴らしかった。(『月の岬』は席が悪かったのでもっと良い環境で観たかった)。更に今作は朝海ひかるさんが主演。いつもながらキャスティングが絶品。場内を埋める年季の入ったコム・ファン。周囲では「こんな老後になるなんて」と、同じ境遇の者達が全国公演を追っていった話に花を咲かせる。ヅカファンの背負ったカルマは殉教者並みだ。

    このラインナップに高橋由美子さんが不思議だったがメチャクチャ良かった。むしろ彼女でなければいけない位。貫禄の保坂知寿さん。竹下景子さんはここ数年で一番輝いて見えた。やはり素晴らしい作品に参加している時の女優が一番生き生きしている。このレヴェルで演れる誉れ。幾ら実力があっても発揮出来る場がなければどうしようもない。松島庄汰氏は松坂桃李に見えた。朝海ひかるさんは男っ気のない仏頂面が八代亜紀っぽくもある。そしてこの作品の持つ気品。『博士と彼女のセオリー』なんかを思い出した。通路を贅沢に使って演劇空間を客席まで広げる。朝海ひかるさんは通路を歩く姿がいつも絵になる。

    牧師の娘、ヘンリエッタ・スワン・レヴィット(朝海ひかるさん)はマサチューセッツ州にあるハーバード大学と提携した女子大学で学び、ハーバード大卒と同等の資格を得て卒業。だが髄膜炎により聴覚に障害を負う。1893年エドワード・ピッカリング率いるハーバード大学天文台に職を得て毎日の天体写真を解析しデータを整理する作業に。ピッカリングは分光器の付いた望遠鏡で天体撮影する技術を開発し、宇宙を知る為に膨大なデータを集めていた。職場の上司に恒星の分類法を確立した天才アニー・ジャンプ・キャノン(保坂知寿さん)、家政婦から天文学者にのし上がったウィリアミーナ・フレミング(竹下景子さん)。レヴィットは単調な作業の中、膨大なデータからある法則を読み取る。

    死ぬ程面白い。今作をどうしてもやりたかった製作陣の気持ちが伝わる。世界は変わるかも知れないよ。貴方のほんの少しの気付きで。
    ちょっと、一分、一世紀。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    高橋由美子さん演ずる妹の奏でるピアノ、そのメロディに抱かれながら心地良く自分の研究データを眺める朝海ひかるさん。ハッとする。「音楽だ!」神様は長い間自分にあるメロディを伝えようとしておられた。これは音楽だ!これで解った。この世界のメロディが!最高の名シーン。

    明るい変光星(明るさが変化する星)程、変光周期は長くなる。(周期光度関係)。セファイド(脈動)型変光星は周期的に明るさが変化するタイプの変光星。変光の周期からその星の絶対等級(本来持つ明るさ)を決定することが出来る。絶対等級が特定出来れば見かけの明るさとの差によってそこまでの距離を特定出来る。セファイド型変光星の変光周期と平均光度との間で成り立つ関係を「レヴィット(リービット)の法則」と呼ぶ。この発見は遠く離れた系外銀河までの距離を測るための、史上初の標準光源と認められた。宇宙の距離梯子(地球から見える星までの距離測定方法)として画期的なものとなった。彼女の発見を使って数々の宇宙の謎が解けていく。

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