声 公演情報 」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「声が紡ぐ三つの物語」

     三名の出演者(佐藤竜、吉澤尚吾、一宮周平)が何役も兼ね、加藤亜祐美がピアノをメインにピアニカやボーカルなどさまざまな音で三つの情景を紡いでいく音楽劇である。

    ネタバレBOX

     まずは美声院なる店で声を調整する習慣のある世界が舞台である。ある朝部長の声が急にハイトーンになったことで社員たちは色めき立つ。気になる女性の好みに合わせて声を整えるという設定が面白い。

     つぎはある父子が登場する。父(吉澤尚吾)は赤ん坊のコエタ(佐藤竜)を険しい表情で優しくあやすといったことをしていたため、成長したコエタは若かりし頃の竹中直人のように泣きながら笑うといったような芸で人気を博す。しかしコエタを見捨て父は去っていくのだった――爆笑のあとにほろ苦い余韻を残す物語である。

     ラストは2023年に金沢で行われた「百万石演劇大合戦」で発表され観客最多得票を獲得した「アしクサ」である。男(一宮周平)は学生時代の親友(吉澤尚吾)を自宅に招き入れるが、親友への恋心をうちに秘めている。佐藤演じるロボットの「アしクサ」はそれを声で聞き分けて気を遣う。

     物語の合間に入るショートショートも面白い。他の出演者に支えられて一宮が体を逆さにした状態で発生したり、人物のオノマトペをすべて声で表現するなど趣向が凝った公演であった。

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