松本清張「点と線」 公演情報 松本清張「点と線」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-1件 / 1件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    マーティン・スコセッシ監督の『アフター・アワーズ』を思い出した。デヴィッド・フィンチャー監督の『ドラゴン・タトゥーの女』やクリストファー・ノーラン監督のような理系の思考法。小野寺修二氏の物事の捉え方に似た感触を得た。映画の演出に向いているのでは。

    美術家のニコラ・ビュフ氏のアイディアが冴える。可動型の長方形の立方体、合体すると路線図や駅舎になる。演者が舞うように回転させ動き離れ背景を作り出す。ワークショップ・オーディションで選ばれた数十人のエキストラが繰り広げる雑踏は美しい。(総勢38人らしい)。

    時代は1958年。福岡の香椎海岸にて青酸カリを飲んだ男女の情死体が発見される。産業建設省(現・国土交通省)の課長補佐(小野寺修二氏)と割烹料亭の女中(大西彩瑛さん)。小野寺修二氏は今日本を騒がせている疑獄事件に関わっており、汚職や詐欺等を取り締まる警視庁捜査二課が既に動いていた。警部補(成河氏)が現地に向かう。捜査が打ち切りになった福岡署の古参刑事(武谷公雄氏)は心中に疑問を抱いていた。小野寺修二氏の遺留品から出て来た食堂車での領収書が一人分だったこと。心中の為に旅に出た二人が別々に食事を取るだろうか?

    踊りのようにくるくる回り、不意に意識を失い、突然のストップ・モーション。『マトリックス』のバレットタイムを思わせる時間の恣意的な流れ。夢遊病者のような繰り返し。詠春拳のような遣り取り。まさに松本清張『点と線』の最新Remix。天野天街氏と流派は違えど根底に流れる宗派は同じような。
    成河氏が崎山莉奈さんに突然言い出すメタフィクション・ギャグ、「お前が犯人···!」はどっと受けた。

    再再演作品、流石に面白かった。原作を知ってから、もう一度観てみたい。
    成河氏ファン中心の一般的な客層にも受け入れられたようで何より。崎山莉奈さんは絵になる。

    ネタバレBOX

    死んだ二人の接点が掴めないところ、目撃情報が出る。大西彩瑛さんと同じ割烹料亭の女中二人(藤田桃子さん、崎山莉奈さん)が東京駅の15番ホームから夜行特急列車「あさかぜ」に乗り込む二人を見ていた。常連客の機械工具商会の経営者(王下貴司氏)に御馳走され13番ホームで見送る時のことだった。13番ホームから15番ホームを見ることが出来るのは線路に他の列車がいない一日で4分間だけ。そこに王下氏の目撃者を作る意図的な工作を感じた成河氏は彼のアリバイを執拗に調べ上げる。肺結核を患い鎌倉で静養している王下氏の妻(崎山莉奈さん)の存在。

このページのQRコードです。

拡大