Fried Strawberry Shortcake 公演情報 Fried Strawberry Shortcake」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★★

    深淵
    Fried Strawberry Shortcake 上演から1年近く経つのですが、今もいろいろな場面をよく思い出します。
    独特な造りの舞台を、実はこの公演のために造られたのではないかと思わせるほどに効果的に使い、今回もまた不思議な世界が描き出されました。
    深淵に引き込まれていくような時間が続くのですが、そこからふと明るい光が見え、その光が、最後のシーンに向けてどんどん明るさとあたたかさと広がりを増していきます。
    人間の本質をあらゆる角度から見させられ、場面ごとに考え込んだり、不安になったり、うれしくなったりするのです。
    だから、時が経っても、自分が直面するいろいろな出来事に、ふとその場面を思い出すのではないかと思います。
    次回作が待ち遠しいです。

  • 満足度★★★

    サイズ感
    本が面白くて、役者も好演でした。
    ただ前半、女性が一人で話しを転がす所はもっと速いテンポの方が観やすかった。
    劇場のサイズと本とテンポが少し合わなかったという印象。
    もっと観客としては翻弄されたかったなぁ

  • 満足度★★★★

    心風景の組み上がりに驚く
    その世界を追わせる前半と、
    内側の構成から次第に組み上がる
    とてもナチュラルな心風景・・・、

    作劇の仕組みとそこから浮かび上がる質感に
    すっかりとりこまれてしまいました。

    ネタバレBOX

    冒頭からさまざまに切り取られる時間、
    それは記録のように思えたり、
    記憶の質感であったり・・・。
    その両方であったり。

    その場に集う人々も
    断片的な印象としてみる側に置かれて。
    でも、舞台空間が具象するものが見えるまで、
    エピソードのイメージがルーズにならず
    リズムや切っ先をもって演じられて、
    観る側に、少女っぽい装飾のその場の位置づけを
    きっちりと追わせてくれて。

    そのなかで、舞台上の時間軸にも
    その場にも、さらにはその中に置かれたキャラクターたちにも
    具象するものが生まれ、
    シチュエーションが露わになり、
    役者達がルーズにくみ上げていた空気が
    意図をもって絡まり始める・・・。

    いままで、どこか薄っぺらくさえ思えていた
    脳内のキャラクターたちが、
    その薄っぺらさだからこその、
    質量をなくしたような軽質な肌触りを
    紡ぎだしていくのです。
    気がつけば、
    空間は内心の有様に姿を変えて、
    去来し漂う意識と無意識の端境のような想いが
    その場を満たしていく。

    渋谷の風景、マグドナルド、通りの景色・・・。
    浮かび上がる記憶、
    そして、意外な形で湧き上がる死の衝動の質感があって、
    そこに理ではなく、むしろ本能的に生き続けようという想いが交差して。
    キャラクターたちの姿が
    その重なりの先に別な色を紡ぎ
    内心のざわめきのような想いへと変貌し、
    観る側をその成り行きの先へとのめりこませていく。

    終盤に、その場の狂言回しが明らかになって、
    ちょっと考えおちのように座標軸の0の姿が暗示され、
    さらもうひとつ、
    恣意的に、別腹のように
    命の醒めた質感までが導き出されて・・。
    冒頭とは様変わりの
    透き通ったひとときの揺らぎに
    強く心を奪われて。

    観終わって、物語を受け取ったというよりは、
    少女の、無意識のなかに去来するような
    細微な心風景の移いの肌触りが残る。
    役者達のお芝居も、
    単なる調和に陥らないしっかりとした色の貫きがあって、
    いくつもの刹那のイメージを、
    沈殿させることなく、ざらつきや濃淡をそのままに、
    ひとつの空間の質感に撚りあげて。

    作り手の、想いの切り取り方と
    デッサン力に舌を巻き、
    残った感触のリアリティに
    さらに心を惹かれたことでした。

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