満足度★★
虚実皮膜のなり損ね
ヤヌシュ・コルチャックの伝記物語として観た場合、史実に極めて忠実で、クライマックスを除けば、一つ一つのエピソードには殆ど嘘がない。それは即ち制作者たちの誠実さの表れである。ユダヤ人差別と戦い、子供たちと運命を共にしたコルチャックの気高い事跡を、その優しい心映えと教育の理念を、正しく後世に伝えようとする意図はもちろん賞賛に値する。
しかし、その誠実さが時として仇になることを、制作者たちは自覚すべきではなかったか。それは、偉人の伝記物語が陥りやすい陥穽である。特に差別や迫害、戦争を描く場合に起こしやすい失敗である。物語がすべて「偉い人の他人事」「過去の一事件で現在とは無関係」と観客に受け止められてしまいかねない、という「罠」だ。
早い話が、哀しみと感動をもって、コルチャックに感情移入した人々が、自らが時と場合においては「迫害する立場」に廻ることもあるかもしれないと想像するだろうか、ということだ。「被害者」に共感する者は、自分が「加害者」になる可能性を、無意識のうちに否定するのである。
その意味で、コルチャックの事跡を讃えるだけのこの舞台は、演劇としては稚拙と言わざるを得ないのである。
満足度★★
演劇を作らねばならない
観ていてストーリーなどは楽しめるものだが、どうにもワクワクしない。
主演のお二人は外部からのゲストだが、他の出演者は軒並み演技が酷過ぎる。
これは劇団ひまわり公演だが、当然大人も出る。
大人の演技は酷く、子供は演技が出来ない。
それでどうして公演を打つのか。
客席は当然、出演者の関係者ばかりだった。
脚本をなぞるだけでは演劇にならないのだ。